Jリーグに“ギフティング”は定着するのか? コロナ禍で急浮上した“投げ銭文化”の可能性

Jリーグでは7月10日から5000人以下の有観客試合を開催【写真:Getty Images】
Jリーグでは7月10日から5000人以下の有観客試合を開催【写真:Getty Images】

【エンゲート株式会社代表・城戸幸一郎氏インタビュー】スポーツ界でも注目を集める新たなマネタイズ手法

 新型コロナウイルス流行下のスポーツ界で話題に上ったキーワードがある。それが「ギフティング」だ。広く「投げ銭」とも呼ばれており、このステイホーム期間に耳にした人も多いだろう。ウイルスの感染拡大防止のため、Jリーグはリモートマッチ(無観客試合)での再開を余儀なくされ、チケットやグッズ売上の減少でスポーツクラブの収入減少が懸念されるなかで、新たなマネタイズ手法の一つとして注目を浴びた。

 しかし、これまでは一般的ではなかった「ギフティング」は、スポーツ界、サッカー界に定着するのだろうか。コロナの影響で一時的にブームとなっているだけなのではないかと、疑問を浮かべている人もいるかもしれない。

 今回は、日本でいち早くスポーツギフティングサービスの運営を始めたエンゲート株式会社の代表・城戸幸一郎氏に、ギフティング文化が浸透するための鍵となるポイントを訊いた。

 ギフティングとは、一般的に動画の配信者に対してユーザーが金銭やそれに準じたデジタルアイテムなどを送って応援するサービスで、ギフティングを受け取った配信者側はそれに応じた報酬を受け取ることができる。ストリートミュージシャンに小銭を投げるいわゆる「投げ銭」の文化が、デジタル上で再現されている。

 大手動画投稿サイトの『YouTube』では「スーパーチャット」と呼ばれるギフティングが定着しているほか、動画配信プラットフォームの『SHOWROOM』や『17LIVE(イチナナ)』といったサービスでも、すでにギフティングによる“小さな経済圏”ができ上がりつつある。

 あらゆる分野で変化を余儀なくされているこの時代だからこそ、スポーツ界にも新しい波が来るとの期待は大きい。スタジアムに満員のお客さんが集まることが困難な現状で、エンゲート社代表の城戸氏は「こうしたなかでも、しっかりとクラブとファンとの接点を作りたい」と語る。同社が運営するスポーツギフティングサービス「Engate(エンゲート)」に懸ける思いを明かしてくれた。

 エンゲートはコロナ流行以前の2018年10月にサービスが開始され、今ではJリーグ9クラブを含め、プロ野球やバスケットボールのBリーグなど計57のチームで利用されている。サービス名は「Engagement(繋がり)」と「Gate(入り口)」に由来している。クラブがサービス上でライブ配信を行うことができ、ファンはそれを見ながら1ポイント=1円で購入できる「エンゲートポイント」を利用してコメントをしたり、ギフトを送ることができる。また、クレジットカード会社大手の株式会社クレディセゾンとの提携により、同社が発行する「永久不滅ポイント」をエンゲートポイントに優遇レートで交換してギフティングを行うこともできる。

 ギフティングはスポーツクラブの新たな収益源として注目を集めているとしたが、城戸氏は「収益を出すことももちろん重要ですが、それを最終目的とはしていません」と語る。同じようなギフティングサービスが次々に立ち上がるなかで、エンゲートは独自の「コミュニティ型」サービスであり、そこで生まれるコミュニケーションこそが最も重要だとしている。

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