日本代表が「ワンチーム、ツーカテゴリー」で東京オリンピック(五輪)とワールドカップ(W杯)アジア予選を戦う。

日本サッカー協会は9日、技術委員会と理事会を行い、A代表と東京五輪代表のスタッフについて話し合った。

日本代表の森保一監督(51)は来年の東京五輪直前までA代表に専念し、監督を兼務する五輪代表は本番のみ指揮することを正式に決めた。両代表の活動が重なる期間は、これまで五輪代表の監督代行も務めたA代表の横内昭展コーチ(52)が五輪代表を監督として率いる。

会議後、反町康治技術委員長(56)がオンラインで取材に応じ、A代表と五輪代表が“ワンチーム”であることを強調した。

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東京五輪での金メダルと22年W杯カタール大会の切符、二兎(にと)を追う日本協会が「ワンチーム、ツーカテゴリー」を打ち出した。

東京五輪の1年延期により誕生するU-24(24歳以下)代表はもはや「アンダー世代」とはいえず、MF久保らA代表級の実力をもつ選手が多い。

A代表と五輪代表を兼任する森保監督を、来年3月と6月のW杯アジア予選に専念させることは、五輪世代の核となる選手たちを直接指導することにつながる。カテゴリーにかかわらず日本代表を“ワンチーム”ととらえて、全体での強化を図っていく。

一方、東京五輪世代の活動は招集に強制力がないため、各国リーグが中断されるA代表の国際Aマッチデー期間に組み込む必要がある。21年の五輪本大会前には3月、6月と2度の国際Aマッチデーが用意されており、この期間でなるべく多く試合を行うことが理想的だ。

A代表はこの期間にW杯予選や親善試合など最大6試合を想定しているため、横内氏が五輪世代の監督を務める。

会見した反町技術委員長は、自身が08年の北京五輪代表を率いた経験をふまえて「私もこの時期(3月、6月)に長友、吉田をキャッチして本大会に採用したことを考えると、この時期は大事になる」と説明。本大会直前に頭角を現した選手にチームコンセプトを植え付けるためにも、五輪世代が3月、6月に活動する必要性を説いた。

新体制は今年9月から。A代表のコーチも兼任する横内氏の負担を考慮し、A代表には来年1月をメドに、新たなコーチを1人追加する方針だ。

これまで東京五輪世代コーチを兼任してきた下田GKコーチ、松本フィジカルコーチはA代表専任となる。

五輪世代は川口GKコーチ、中馬フィジカルコーチを迎える。両名とも19年の五輪世代代表活動に同行しており、チームへの理解は十分だ。体制を整えた日本代表が、ワンチームで2つの目標を追いかける。【杉山理紗】