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“ブルートルネード”桐生一の新リーダー。MF落合遥斗は背中と声で仲間引っ張り、今年もゴール連発へ

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桐生一高の新リーダー、MF落合遥斗は背中と声、ゴールでチームを牽引する

 昨年はボランチなどでプレーしながらプリンスリーグ関東でチームトップの8得点。桐生一高MF落合遥斗(3年)は中盤中央で技巧と運動量を発揮し、ゴールを奪い取る仕事もしてのけた。

 前橋育英高戦で直接FKを決めるなど、長短のキック精度の高さも武器とする落合はPKキッカーも務めた。エースFW若月大和(現シオン)が年代別日本代表合宿、Jクラブの練習参加によって不在の期間が長かったとは言え、それを上回る得点数。結果が出た要因は、中村裕幸コーチから指摘された課題の改善だ。

 変化することを自分に課して、試合終盤の運動量を増加。得点数の半数は後半30分以降に奪ったものだ。落合は「後半の残り10分くらいでみんなが走れなくなった頃に自分が攻撃にかかわればと。相手からしたら、疲れている時に2列目から飛び出してくる選手とか嫌だと思うので、そこで点を取れたということは自信を持っています」と胸を張る。

 新チームではシャドーに入ることが多い模様。彼の巧さと決定力、終盤の運動量が相手にとって驚異となることは間違いない。その落合は今年、チームを牽引する立場となった。

「泥臭く、背中で見せるようなことを心掛けています」

 元々声よりもいち早く動くことを意識していたプレーヤー。ポジション柄、DFやGKと違って声を発し続けることも難しい。現在も背中で仲間に見せることを考えて動いている。ただし、喫した敗戦から練習、試合中に周囲へ強く意見することの重要性を実感し、それを表現するようになったという。

 桐生一は県新人戦準々決勝で延長戦の末、前橋商高に惜敗。「自分はあまり言う方じゃなくて、最初キャプテンと言われた時も周りにあまり言えないからどうかなと思っていたんですけれども、新人戦で負けたくらいから(試合中)強い言わないといけない時もあるから言うようになったかなと思います」と自身の変化について口にする。

 1年時からAチームに加わり、若月やMF田中渉(現仙台)とともに練習してきた。「去年、一昨年は凄く良いサッカーをしていたので、試合前は本当に負ける気がしないなという感じだった」というが、選手権予選は2年連続1点差で宿敵・前橋育英高に惜敗。落合は私生活の部分など細かな差が勝敗を左右しているのではないかと感じ、今年はピッチ外のところも意識してチームメートに求めるようになった。

 また、今年は1~3年までの各学年のリーダー数人が集まってミーティングを実施。自分たちの良いところと悪いところについての意見を出し合って、それをチーム全体で共有している。サッカー人生初のキャプテンでチームメートの私生活まで気を配るのは大変だという。それでも、前橋育英や前橋商などのライバルを上回って全国へ行くためにできることをするだけ。「流れの良い時と悪い時、チームの雰囲気とかがその一週間の練習で決まったりするので、練習からしっかりと声をかけてやっていきたいと思っています」と意気込んでいる。

 桐生一は昨年5月に強化指定クラブマーケティング室が発足。国内高校初となるアスレチックデパートメント化を目的とし、サッカー、バスケットボール、硬式野球、ラグビー、柔道、陸上競技男子の強化指定クラブのチーム強化やブランディング、マーケティングなどを行っている。強化指定クラブの統一チーム名は「ブルートルネード~青い上昇桐生~」。チームカラーもスカイブルーに統一され、サッカー部も今年からスカイブルーの新ユニフォームを採用している。

 新しいユニフォームで戦う新生・桐生一の1年目のシーズン。そのリーダー役を担う落合は「得点という部分でチームに貢献しながら、中盤のところでボールを奪えるようになりたいですね。まず全国出ることを目標として、自分はそこで自分の力とチームの力が試せるか楽しみなので、まずは全国に出て全国で戦いたいです」と力を込めた。自覚を持ってチームとともに成長を遂げ、13年度以来となる選手権へ。必ず、目標を達成し、全国で舞う。

(取材・文 吉田太郎)
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