これが従来のJリーグでは、起きていないドローだったかもしれない。

ガンバ大阪の宮本恒靖監督(43)が、2試合連続で5人の交代枠を使い切り、後半47分に同点に追いついた。

まだ開幕3戦目で、中断明け2戦目。交代枠だけではなく、G大阪は最後、主将のDF三浦をベンチに下げ、センターバックにDFキム・ヨングォンと高尾だけを配置し、まるで優勝やJ1残留が懸かっているような捨て身の戦法を取った。

後半途中からは長身のFWパトリックをめがけ、ロングボールを多用。後半最後の同点の場面は、最後尾にいた左サイドの福田からのロングパスを、パトリックが頭で折り返し、それをFW渡辺が右足で同点ゴールにした。

ポゼッションサッカーという看板を捨て、ひたすら一直線にゴールを目指した。これが従来のように交代枠3人、J2降格ありのルールだと、開幕3試合目では得失点差も気にして、ここまで極端な試合はできなかっただろう。

宮本監督は会見で、もちろん喜びの表情ではなかったが「最低限の勝ち点1は、プラスにとらえたい」と前向きにとらえた。一方で名古屋グランパスのイタリア人、フィッカデンティ監督は、目の前にあった2連勝を逃し、心から悔しがった。

「最後のロングボールの場面や、セカンドボールへの場面では、明らかに防ぎようがあった。90分間で半分以上、名古屋が完全に支配しているのに、選手の体ができていない。(新型コロナウイルス感染者がチームから出て、他チームより)2週間ハンディがあった。言い訳になるが、その上でどうやって試合を終わらせるかイメージを持っていたはずだ。疲れた状態でも、残り1分になると特別な力出るものだが、残念だ」

全34試合のJ1リーグ戦は、残りはまだ31試合もある。過去の常識が通用しない試合やドラマ、ハプニングが待っているかもしれない。【横田和幸】