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“GK王国”市船の細江彦太は宿敵の守護神に並び、上回って目標達成へ

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市立船橋高の新守護神、GK細江彦太は先輩たちのようにチームを引っ張る存在に

[2020シーズンへ向けて](※市立船橋高の協力により、アンケート形式で取材をさせて頂いています)

 負けてはいけない選手がライバル校にいる。名門・市立船橋高のゴールを守るGK細江彦太(3年)が最も意識するのは、同じ千葉県内の宿敵・流通経済大柏高のGK松原颯汰(3年)だ。

「(松原は)1年の時から流経のゴールを守り続けていて、本当に上手いと思いました。これが同い年なのかと。ライバルと言っていいかは分からないですけど、市船のゴールを守るからには負けられない選手です。(昨年の直接対決では)スタンド、ベンチで見ていることしかできなかった悔しさを今年はピッチでぶつけたいです」

 1年時から流経大柏のゴールを守って選手権準優勝に貢献し、年代別日本代表や日本高校選抜候補にも名を連ねてきた松原の方が実績、経験値は上。だが、細江も長く市立船橋を指導してきた伊藤竜一氏(現ブリオベッカ浦安強化部長兼TOP GKコーチ、市立船橋GKコーチ)や、高橋諭GKコーチが下級生時から期待を寄せる素材だ。

 昨年は昨年のプレミアリーグEAST開幕戦で先発するなど9試合で先発フル出場。本人が「正直ほとんどできなかったです。チームに迷惑ばかりかけていました」というように、なかなか結果を残すことができなかったことは確かだが、183cmの高さと鋭いセービングを発揮したゲームもある。

 GK金子麗音(現近畿大)が負傷離脱中だった8月の大宮U18戦では「1試合通してセービング、クロスの対応、キックと安定感あるプレーができたと思います」という内容で0-0の引き分け。勝ち点1をもたらした。試合終盤の失点で悔しい思いをした試合もあるが、それでも年間を通してカウンターに繋がるパントキックやメンタル面、声を出し続ける部分など成長を実感している。そして、今年に懸ける思いは特別だ。

「今年はチームを勝利に導きます」

 新シーズン開幕へ向けて、プレーの安定感が高まってきていたところで新型コロナウイルスの影響による休校、全体トレーニングの中止。「チームとして雰囲気が良くなってきて、『やるぞ』って時にこのようになってしまったので悔しかったです」。それでも自分自身に目を向けて、可能な範囲内のトレーニングで課題のシュートストップなどに取り組んできた。

「小さい時から市船を見て育ったので憧れの高校でした。入って良かったと思うところは成長できる環境が揃っているところです。選手のレベルが高いのはもちろんですが、全員に『成長したい』という意欲が強くあり、そこで切磋琢磨して成長することができます。練習後の自主練の時間も長く取ることができて、自分と向き合える時間が多くあります」という市立船橋でサッカーをできる期間もあと6、7か月だ。これからも努力を継続して松原に並び、上回るようなGKとなって全国出場、そしてその先にある目標を達成しなければならない。

 GK佐藤優也(現千葉)やGK中林洋次(現横浜FM)、GK村山智彦(現松本)、GK笠原昂史(現大宮)、GK上福元直人(現徳島)、GK積田景介(現琉球)、GK志村滉(現磐田)、GK長谷川凌(現ヴェルスパ大分、前水戸)、GK田中悠也(現北九州)ら10人以上のプロGKを輩出し、現役でも活躍しているOBの多い“GK王国”・市船の新たな守護神。細江は「今年はチームを引っ張っていく存在になりたいです。ゴールを守ることはもちろんですが、自分のキックから攻撃に起点を作りたいです。チームとしての目標は残された選手権での全国制覇です。去年(全国初戦敗退)の悔しさもベンチで経験しているので、絶対に負けられないです」。堅守・市船を最後方で支え、攻撃でもチームに貢献して多くの白星をもたらす。

(取材・文 吉田太郎)

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