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WEリーグ参入なら「役職員の50%は女性」義務化…真の“女性活躍”へ厳格基準

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今井純子女子委員長

 日本サッカー協会(JFA)は3日、2021年9月に開幕する日本初の女子プロサッカーリーグ『WE LEAGUE(ウィー・リーグ)』の設立発表を行った。初年度6〜10チームとなる参入クラブの選定基準では、クラブ運営法人の役職員の50%を女性(入会から3年以内に要達成)とし、役員にも最低一人は女性を登用するよう義務化。日本国内の男女格差の問題を踏まえ、女性の社会進出を促進するための制度設計に踏み切った。

 JFAの田嶋幸三会長は発表会見で「この女子リーグはさまざまな意味で日本の社会を変えていけないだろうか、サッカーのフィールドから社会を変えていけないだろうかと提案しようと考えている」と決意を表明。「女性の社会進出、ジェンダーイコーリティ(性の平等)」を重視するという文脈で、次のように制度の意図を語った。

「スポーツ競技団体でも会社でも女性の割合を決めて目指すことが言われているが、残念ながら到達していないのが現状。ただ、WEリーグではその基準を守らせる。女性自身が参画していく姿勢になる。ただ選手をやれればいいということではなく、自分が日本の女子サッカーを動かしていくということを考える選手を増やしていくことが、まさにサッカー界から発信していく女性の社会進出になる」。

 もっともすでにスタートしている参入クラブの仮申請手続きにおいて、参入を検討している団体からは「そんなに簡単じゃない」という厳しい声も上がっているという。それでも田嶋会長は「どこまで近づけるか。また逆に言えば守らないといけないということがハッキリする。それくらいの覚悟で新たなチームを選定していくことになる」と強い決意を示した。

 またJFAの今井純子女子委員長も「さまざまなところで女性活躍がうたわれているが、なかなか機能して実施されていない。私たちのリーグでは確実に実行していきたい」と宣言。「数を設定するという形だが、結果として『そのほうが自然だね』となっていくことが望み。最初のハードルとして基準を上げておき、それに合わせて取り組んでいく」と意気込みを示した。

 またWEリーグでは、男子のJリーグでは定められていない最低年俸制も採用される見込みが明かされた。近年、国際的な選手組合にあたる国際プロサッカー選手会(FIFPro)によっても女性選手の待遇が悪すぎると指摘されており、世界的な関心事となっている問題だ。

 設定される最低年俸の目安は大卒の初任給程度。今井委員長は「十分とは考えていないが、最低年俸を設定することに非常に大きな意味がある」とした上で、「年俸が男性と同じになるかどうかはいかにリーグの価値を高め、たくさんの人に見ていただいて、応援していただけるか。それが結果についてくる。価値を上げていきたい」と賃金平等に向けても意欲を示した。

(取材・文 竹内達也)

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