2年連続のアジア王者を目指すE組の鹿島アントラーズが途中出場のFW伊藤翔(30)の2得点で、1次リーグ(L)最終戦で突破を決めた。

山東魯能(中国)戦で0-1の後半18分に投入されると、同23分に同点弾、同25分に逆転弾と瞬時の大仕事。チームは2-1で勝ち、6月の決勝トーナメント1回戦ではF組1位の広島と対戦することが決まった。

ケガもあり約2カ月間“眠っていた男”が目を覚ました。伊藤は後半18分からピッチに立つと、5分後の同23分にCKのこぼれ球を押し込み同点に。同25分にはカウンターから、ループシュートでネットを揺らした。「(先制され)自分たちでまいた種。自作自演の値千金です」。わずか3分での逆転劇。3月17日の札幌戦を最後にゴールから遠ざかっていた「和製アンリ」は、逆転弾を決めるとスライディングしてピッチの上で大の字になり、喜びを爆発させた。

ここ1カ月半ほど、右膝の痛みと戦っていた。4月14日の東京戦後は「膝を曲げられないくらいだった」。試合と治療を繰り返してきたが限界を感じ、5月8日のACLを最後に先発を外れてコンディション回復に努めてきた。「休ませてもらって、いい感じに痛みも抜けてきた。疲れも抜けて、シンプルにコンディションが良くなった。時間をくれた大岩監督に感謝しています」。本来のスピード感を取り戻し、期待以上の結果を残した。

伊藤がピッチに入るのとほぼ同時に、同組のもう1試合で慶南が先制。このままなら前年アジア王者が敗退という土俵際に追い込まれたが、頼れるストライカーがやってくれた。これで伊藤は山東相手に2戦4発。前回の対戦で得た「相手のサイドバックの裏に前の選手が走るスペースがある」という教訓も、投入直後の得点につながった。それでもまだ16強。アジア連覇へ、本当の勝負はここからだ。【杉山理紗】