Jリーグ全クラブが一安心、DAZN放映権料減額なし…村井チェアマン「大変いい状況」

スポーツ報知
19年12月、サポーターと優勝を喜ぶ横浜Mイレブン

 Jリーグの村井満チェアマン(60)が11日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中断したリーグ戦で、放映権契約を結ぶDAZN(ダゾーン)社から中断による減額がないことを明らかにした。クラブの代表者が集まる実行委員会後にオンライン会見し、「契約の見直しや減額の話には至っておりません」と明言した。DAZN社と交わした10年2100億円の契約は、クラブ強化を目的とした配分金の原資。中断による最大の懸念が払拭される。

 村井チェアマンが大型の放映権契約を結ぶDAZN社との間で、現状でリーグ戦中断による減額がないことを明らかにした。「良い関係でお話をさせてもらっている。一部で支払いの懸念の声もあったが、ダゾーンさんとは大変いい状況で、そうした契約の見直しや減額の話には至っておりません」。会見の質疑応答終了後、自ら切り出した。

 2017年にDAZN社と10年約2100億円の超大型契約を結んだ。Jクラブへ分配される「均等配分金」の原資になる。J1はそれまでの1・8億円から3・5億円、J2は7000万円から1・5億円に増えた。クラブにとって不可欠な資金で、仮に試合数が減って減額されれば配分金への影響も考えられた。J1の上位4チームに分配される「理念強化配分金」にも充てられる。リーグ、クラブの弱体化を招きかねない大きな問題だった。

 リーグ戦が中断に入ると、海外では放映権料の減額報道が相次いだ。ただ、日本ではDAZN社はJリーグとともに成長していく考えから4月中旬に基本的には減額なしの方針を決めたという。すべてのサッカー関係者を安堵(あんど)させたのと同時に、DAZN社を意識し、公式戦再開を必要以上に急ぐこともない。より慎重に、より安全な判断を下すことができる。

 実行委に先駆けて行われた日本野球機構(NPB)との新型コロナウイルス対策連絡会議では、リーグ再開へ向けた日程が示されることはなかった。新規感染者数は減少傾向にあるが、依然として予断を許さない。村井チェアマンは22日に予定するJリーグの次回実行委で、現在は白紙の再開日程を協議したい考えを明らかにしたものの、コロナの事態収束が進むことが前提条件。「多くの方に支えてもらい、大変感謝している。ダゾーンさんは一緒に価値をつくってきている」と感謝。健康面以外で、中断による最大懸念が払拭されたと言える。

 ◆DAZN(ダゾーン) 英国のDAZNグループが展開するスポーツコンテンツの定額制動画配信サービス。16年8月10日からオーストリア、ドイツ、スイスでサービスを始め、同年8月23日から日本で展開開始。現在は世界200以上の国・地域で展開。Jリーグとは17~26年までの10年間で約2100億円の大型契約を締結。J1~J3の全リーグ戦が配信されている。

 ◆均等配分金と理念強化配分金 均等配分金はJリーグに加盟する全クラブに配分。DAZNとの契約締結後、J1は1.8億円から3.5億円、J2は7000万円から1.5億円、J3は1500万円から3000万円と、ほぼ倍額に。理念強化配分金は前年度のJ1の1~4位に配分。使途は強化や普及、若手育成などに限定。1位には3年総額15.5億円、2位には3年総額7億円、3位には2年総額3億5000万円を各年均等に支給。4位は単年1億8000万円。またリーグの賞金は優勝クラブに3億円、2位に1億2000万円、3位に6000万円と設定されており、J1で優勝した場合、2つの配分金と優勝賞金の合計で22億円を手にする。

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