清水エスパルスなどでプレーした加賀美翔氏(25)が先月、現役引退を表明した。日刊スポーツの単独インタビューでは自身のサッカー人生を振り返りながら、今後飲食店をオープンさせる「経営者」としての抱負を語った。「セカンドキャリアでは一花咲かせたい」。新たな挑戦に懸ける思いを聞いた。【取材・構成 神谷亮磨】

FWとして活躍した加賀美氏は、清水に3年半在籍した。華やかなプロ生活ではなかったが、練習試合ではゴールを量産するなど、得点感覚はずばぬけていた。清水が拠点とする練習場の地名から「三保の得点王」とも呼ばれ、サポーター人気も絶大。公式戦は3試合出場ながら、2得点。インパクトは残した。

加賀美氏 最低限のことはやれた自負がある。清水では下手な選手だったし、何もできなくてボールを触るのが嫌な時期もあった。ただ、点を取ることだけは証明できたし、誇っていいことだと思う。

-16年途中にJ3藤枝に移籍した

加賀美氏 後悔は移籍のタイミング。プロ2年目に2回オファーがあったけど、断っている。その年の天皇杯で点を取っておごってしまった。次の年にはルヴァン杯でまた点を取って。小さな希望を持ち続けてやってきたけど、最後は何も残らなかった。

-その後はアマチュアの2クラブでプレー

加賀美氏 一気に地域リーグにカテゴリーが下がってしまった。はい上がってやろうと思っていたけど、心の中で無理かなと思う自分がいたのも事実。25歳までやってダメなら辞めようと決めていた。

-現役最後のクラブは関東1部リーグのVONS市原。働きながらプレーしたことが転機になった

加賀美氏 週5日、焼き肉店でアルバイトをしていた。仕込みをやらせてもらったり、接客もやって。いろんな人と接した経験が刺激的で、いつかそういう場を提供する立場になりたいなと。その時に漠然と思ったのがきっかけ。

-今月中旬以降に清水区で飲食店をオープンさせる予定

加賀美氏 知り合いの力も借りて、話が進んでいる。店長という立場でお店に立つ予定。清水でやれることも何かの縁。今はコロナウイルスの影響でどうなるか不安もあるけど、1日でも早く日常が戻ってほしい。サポーター以外の人も来て、人と人をつなぐ場を提供したい。詳細が決まれば、SNSで発信するので、楽しみにしていてください。

◆加賀美翔(かがみ・しょう)1994年(平6)4月22日、富士市生まれ。ACNジュビロ沼津から清水ユース入りし、12年プレミアリーグEASTで得点王。13年にトップ昇格。16年途中にJ3藤枝へ移籍し、その後はアマチュアのジャパンサッカーカレッジ(新潟)、VONS市原(千葉)でプレー。先月に現役引退。J1リーグ戦通算1試合、J3同通算4試合出場。血液型O。