J2アルビレックス新潟のFWファビオ(22)が相手守備陣の脅威になり続ける。

持ち味はスピードに乗ったドリブルと、192センチの高さを生かしたヘディングシュート。ボールを受ける前の動き「オフ・ザ・ボール」の状況では常に相手DFライン背後を狙い、ゴールへ向かう。

3-0で快勝した群馬との開幕戦(2月23日)では、その“快足”を飛ばしチーム3点目のゴールを奪った。チームも自身も波に乗りスタートを切ったが、新型コロナウイルスの影響で第2~12節が延期され、再開は5月にずれ込んだ。「少し難しい期間だが、チームに100%順応できるよう努力する」と前を向く。

3歳頃から始めたストリートサッカーで技術を磨き、13歳でクラブチームに入団した。「家には母しかいなかった。妹たちもいたので、負担にならないよう家を出た」と親元を離れ、叔父の家で暮らしながらプロを目指した。「彼らがいなければ、今ここの舞台には立てていない」と感謝を忘れない。当時、叔父の家で一緒に過ごし、送迎などを手伝ってくれたクラウデミさんが3年前に27歳の若さで他界。毎シーズンの初得点は彼にささげると決めている。

現在は新潟市内で1人暮らしで、ブラジルから来日間近の奥さんと、生後1カ月の長男とのテレビ電話が至福の時間。「息子が、もしプロ選手になったら、彼のパスをヘディングでゴールしたいね」と夢を話す。リーグ再開予定の5月2日アウェー大宮戦に向け、「ゴールを狙っている。アシストよりゴール。新潟の勝利に名前を刻みたい」。再開後も、貪欲にゴールを目指す。【小林忠】

◆ファビオ(ファビオ・ロベルト・ゴメス・ネット)1997年5月25日生まれ、ブラジル・サンパウロ州出身。19年に在籍したオエスチFCではブラジル選手権2部リーグで得点ランキング2位となる15得点を挙げた。1月に新潟に移籍加入。192センチ、81キロ。背番号9。