横浜FCのFWカズ(三浦知良、52)が17日、プロ35年目のシーズンに向けて決意を語った。

左臀部(でんぶ)に痛みがあるカズは、和歌山キャンプで別メニュー調整中。くしくもこの日は阪神・淡路大震災から25年。かつて暮らした被災地・神戸への思いも含め、53歳で迎える最年長出場への強い覚悟を口にした。

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カズは左臀部(でんぶ)の疲労のため、前日に続き室内ジムで別メニュー調整を行った。「いつからとかは言えないですが、痛みが取れてから全体練習に合流したい」。サポーターが待ち望むJ1最年長出場とゴールに向けては「若手との競争に勝たないといけない。今の自分の立ち位置は厳しい状況。常に意識は高く持って、(2次の)宮崎キャンプで練習試合もありますし、そこでアピールできたら」と意欲を見せた。

この日は阪神・淡路大震災から25年。かつて神戸に在籍しただけに「4年半プレーして非常に思い出が深い街」。カズにとっても1月17日は特別な日だ。

「大震災があって、神戸で得た経験と思いが今の日本の災害に対しての意識を高めたと思う。人間の記憶は薄れていくものがありますが、震災を思い出すことによって、その思いを次につなげることが大事」

15年1月17日には神戸でのチャリティーマッチに出場し、2得点とサッカーを通してエールを送った。そして今季リーグ開幕戦(2月23日)はアウェーの神戸戦。「大好きな街で開幕を迎えられるのはうれしい。ぜひそのピッチに立ちたい」と思いを口にする。

和歌山合宿中のチームは下平監督のもと、連日トラップやパスの技術を磨く。プロ35年目のカズが身に付けた技術の引き出しは誰よりも多い。「自分には自分の良さがある。チームとどう融合していくか」と見据え、「10代、20代の選手がチームの中心にならないと強くなっていかない。僕らベテランは引っ張っていってもらいたい」。そう話す一方で、本気で立ち向かってくる若手との真っ向勝負に負ける気はない。「楽しいですけど勝ちたい」。新シーズンの挑戦は始まったばかりだ。【岩田千代巳】