静岡学園・藤井、仲間と共に右足首骨折から立ち上がる

スポーツ報知
選手権へ向け、調整する静学MF藤井

 悲劇が起きたのは9月末だった。静岡学園MF藤井皓也(3年)は練習試合でスライディングを受けた。「選手権のことが頭によぎった。けれど…、動けなかった」。右足首を骨折。4月のプリンスリーグ東海から、主にトップ下で不動のレギュラー。武器はパスからのチャンスメークで、県総体決勝・清水桜が丘戦でも得点した。チームは新人戦、県総体と準Vに終わり、3度目の正直に燃えていただけに、落胆は大きかった。

 10月11日、手術を受けた。無事成功したが、診断は全治3か月。県選手権出場は絶望となったが、トップチームの3年生全員が見舞いに訪れてくれた。MF藤田悠介(3年)は皮のついたパイナップルを買って持ってきた。ほかにもスターバックスの飲み物、フルーツ、好きなユーチューバーの本など、選手たちが持ち寄った。「うれしかった」と仲間の温かさを知った。

 県選手権は川口修監督(46)の意向もあり、スタンドではなく、スタッフの一員としてベンチ周辺で見守った。試合前にイレブンに声をかけるなど緊張を和らげた。特に、代わりに先発したMF井堀二昭(3年)には「頑張って」など一番多く声をかけたという。

 チームは4戦で13得点を挙げ、5年ぶりの全国選手権出場を決めた。井堀はアシスト王(3)になった。優勝に沸く仲間を横目に「エコパの決勝のピッチに立ちたかった」。葛藤もあったがMF松村優太(3年)が「これで全国にお前を連れていける」と言ってくれたことで、やっと歓喜の輪に入ることが出来た。

 現在は練習に復帰したが、ドリブルやランニングなど軽い運動しかできない。「人とぶつかるのが怖い」と明かす。川口監督は「準決勝(来年1月11日)か決勝(同13日)に間に合うかどうか」と言いながらも登録メンバー30人に入れた。「メンバーに入れなかった選手もいる。絶対に治さないといけない」。日本一を目指す仲間を信じ、復活の時に向け練習を続ける。(山田 豊)

 ◆藤井 皓也(ふじい・こうや)2001年8月29日、愛知県生まれ。中学時はラランジャ豊川でプレー。165センチ、57キロ。

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