【釜山(韓国)=松尾幸之介】日本代表(FIFAランク28位)は第2戦で香港(同139位)と戦い、5-0で大勝した。東京五輪世代のFW小川航基(22=水戸)が、A代表デビュー戦では10年ぶり3人目となるハットトリックを達成。

同じく初出場のFW田川亨介、DF菅大輝も初得点し、3大会ぶりの優勝に大きく前進した。なでしこジャパン(同10位)も中国(同15位)に3-0で完勝。FW岩渕真奈(26)がハットトリックを決めた。

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初のA代表の舞台で小川が存在感を見せつけた。2-0の前半26分、ゴールを背にパスを受けると、ワントラップで体を反転させ、右足でゴール左を射抜いた。「受けてターンしてニアに決めるのは得意な形。それが早い時間に出て波に乗れた」。同ロスタイムにゴール前で左クロスのこぼれ球を拾って押し込み追加点を挙げると、後半13分にも左クロスを頭で沈めた。

A代表デビュー戦でのハットトリックは、10年1月のアジア杯予選イエメン戦のFW平山相太(当時東京)以来、史上3人目。初戦から先発メンバー全員を入れ替えた試合で、東京五輪のメンバー争いでも大きな意味をもたらす3発。「最近、得点をとれていない試合が続いていたので、ホッとしました。これがアピールになったかはわからない。ボールをおさめることとか、得点以外の部分でもっとできれば」と謙虚に振り返った。

苦しみながらつかんだA代表初ゴールだ。同世代では長くFWの中心的存在として君臨してきたが、17年5月のU-20W杯で左膝前十字靱帯(じんたい)断裂などの大けがを負った。約9カ月間、実戦から離れ、所属していた磐田でも出番を失った。「思い描いていたようなサッカー人生ではなかった」。今年7月にはJ2水戸へ移籍。徐々に試合勘も取り戻すと、水戸まで視察に訪れた森保監督が「存在感のあるプレーをしている」と評価。A代表初出場の舞台で復活を印象づける活躍をみせ、期待に応えた。

プロ公式戦初ゴールを挙げた17年4月のルヴァン杯東京戦でも大会史上最年少でハットトリックを達成していた。膝に大けがを負う直前のことだった。「(次戦の)韓国戦が一番大事な試合というのはわかっている。エースは自分だというのをみんなに認めてもらえるように、もっともっと点を取りたい」。かつての勢いを取り戻した小川がさらなる活躍を誓った。

◆小川航基(おがわ・こうき)1997年(平9)8月8日、横浜市生まれ。大豆戸ジュニアユースから桐光学園を経て16年に磐田入団。19歳だった17年4月のルヴァン杯東京戦で同大会史上初めて10代でハットトリックを達成。同年5月のU-20W杯日本代表。今年7月からJ2水戸に期限付き移籍し、17試合7得点。J1通算23試合1得点、ルヴァン杯通算16試合4得点。186センチ、78キロ。

▼記録メモ 国際Aマッチ初出場のFW小川が香港戦で3得点。日本代表の国際Aマッチでのハットトリックは、2012年6月8日のW杯アジア最終予選ヨルダン戦での本田圭佑(CSKAモスクワ)以来、史上21人目、34度目。デビュー戦で達成は1930年5月25日の極東選手権フィリピン戦での若林竹雄(東京帝国大)、2010年1月6日のアジア杯予選イエメン戦での平山相太(東京)に次いで史上3人目。