ベガルタ仙台の平瀬智行クラブコーディネーター(42)が13日、仙台市の東六番丁小学校で5、6年生約150人を対象に「夢授業」を行った。「いっぱい悩んだり、苦しいこともあると思うけど、逃げないでほしい。きついと感じたら同じ線路をずっと走るのではなく、いったん外れて違う景色を見て戻ればいい。自分で考えて、行動して、いろいろなことにトライするのが大事」と自身の経験を元に語った。

サッカー選手を目指し、小4で<1>鹿児島県代表<2>鹿児島実に入学<3>プロ選手<4>五輪代表<5>日本代表の5つの目標を掲げ、1つ1つ実現させた。鹿児島実では全国高校サッカー選手権優勝も経験したが、地獄の毎日だった。髪形は丸刈りで、冬も雨の日も上半身裸で7時から朝練。放課後は午後4~10時まで練習し、その後も自主練習とサッカー漬けだった。

さらに夏のテスト期間には、100メートルダッシュの特別メニューを10日間課され、行き17秒、帰り43秒の1セットで初日は30本。最終日は100本行い、水を飲む暇もなかった。「毎日辞めたかった。それでもJリーガーという夢があったし、届くところにいた。練習が嫌だから辞めるのはもったいないと必死にしがみついた」と回想する。

平瀬氏は同日、東京エレクトロン宮城の社内活性化イベントでも講演し、現役時代のエピソードを明かした。高校卒業後、入団した鹿島では3年間で出場1試合の挫折を味わった。4年目でプロ初先発した試合で4得点と爆発。記者から「素晴らしい活躍でしたね。(シドニー五輪代表)トルシエ監督も視察に来てましたよ」と言われ、「トルシエさんって誰ですか?」と答えた話など、軽妙トークで会場を沸かした。ベガルタと地域をつなぐ懸け橋として、地道に活動を続けていく。【山田愛斗】