J1で首位で初制覇を目指すFC東京が、約3カ月ぶりに“わが家”に戻る。23日の湘南戦を戦う味の素スタジアムは、日本中を熱狂させたラグビーW杯日本大会の会場の1つで、8試合が行われた。

激しい肉弾戦が多いラグビーでの使用によりピッチ状態が心配されたが、ほぼダメージなしで乗り切った。ラグビー日本代表が感動を届けた、全く同じ舞台で、次は東京が初Vへとラストスパートをかける。

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ようやく首位の東京がホームに戻る。本拠地の味スタは、日本代表が躍進したラグビーW杯で使用され、その間、異例のアウェー8連戦を強いられた。W杯では日本-ロシアの開幕戦から1日の3位決定戦まで8試合を実施。最後には、ニュージーランド代表オールブラックスが、勇ましい「ハカ」とともに強さを見せつけた。ピッチへの負担が大きいことで知られるラグビー。不安視された傷みは、表面のみ。チームはこの日の練習で状態を確認。快足FW永井は「昔(W杯前)よりいいんじゃないかな」。MF橋本も「芝もすごくよかった」と、好感触を口にした。

ピッチ強度を上げるため、W杯に向け、通常の天然芝に人工芝を加えたハイブリッドに変更。地面と水平に、はうように伸びる夏芝、真上に伸びる冬芝、人工芝の3種類を組み合わせ、ラグビー用の丈夫なピッチを作った。これが功を奏した。立役者の1人、管理会社「オフィス・ショウ」の池田省治社長は「3位決定戦の直後でも試合ができそうだった」と胸を張る。

大会直後には、それぞれをミリ単位で刈って、育成する細かな調整を施し、再びボールが転がりやすいサッカー仕様に仕上げた。池田社長はここ10年、毎年イギリスの「聖地」ウェンブリー・スタジアムへ。すでにハイブリッド芝が導入されていた同スタジアムで、長所と短所を学んだ。そこで得た知見が役立った。W杯終了後、天然芝に張り替える案もあったが、状態が良く、ハイブリッドのままとなった。日本に熱狂をもたらしたラグビーと同じピッチがサッカー仕様に変わり、次は東京が悲願の初優勝を目指す勇姿を見せる。【岡崎悠利】