サッカー日本代表(FIFAランキング28位)が敵地でキルギス(同94位)を2-0で下し、開幕4連勝とした。MF南野拓実(24=ザルツブルク)が前半41分、自ら倒されて得たPKを決めて先制。歴代2位タイ史上4人目の国際Aマッチ5戦連続ゴールと、初のW杯予選開幕4戦連発を達成した。ともに93年のカズ(三浦知良、52=横浜FC)の記録を塗り替え、予選前半戦を無傷の首位で折り返した。

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前半40分に訪れた、待ちに待った決定的瞬間。真っ先に裏から走り込んできたのは、やはり南野だった。ペナルティーエリア内へ流れてきたMF遠藤の縦パスに反応。「あそこのスペースにボールが来そうな感じがあった」。DFよりひと足早く左足でタッチするとたまらず飛び込んできた相手GKの手が足に触れた。

自ら得たPK。地鳴りのように響く敵地でのブーイングの中、迷わずボールを手にして相手GKと向き合い、ほほ笑んだ。経験が生む、勝負どころでの落ち着きと余裕。相手GKが飛んだのとは逆のゴール右上に沈めた。「展開的に重要なゴールになると思ったし、決められてよかった」。歴代2位タイの5試合連続、W杯予選では史上初の開幕4戦連続得点を決め、偉大なるカズの記録を超えた。

「キング」から認められた潜在能力が、欧州生活5年目にして開花の一途をたどる。C大阪下部組織から昇格したプロ1年目の13年2月、宮崎合宿の練習試合でカズと対戦。偉大なる先輩に「飛び抜けた才能がありました」と回想させるほどの印象を残した。

天賦の才能に満足せず、オーストリアで戦いを続けてきた。武器のドリブルに加え、勝負どころをかぎ分ける嗅覚と決めきる決定力に磨きを掛けた。「ボックス内でのポジション取りとか、そこでのこだわりは欧州に行って成長している部分」と自認する位置取りで奪ったPKで得た、記念すべきゴール。「ああいう部分は狙ってた部分でもあるし、ゴール前でのしたたかさは世界と対戦した時に日本がいつも感じるところ。そういう部分を出せて良かった」と、うなずいた。

年内最後のW杯予選を4連続完封勝利で締め、F組の首位固めに入った。南野は日本でのベネズエラ戦には向かわず、再び主戦場の欧州に戻る。「誰がゴールしても勝つことが優先すべきこと。得点が勝利より先に来ることはない」のスタンスを貫きつつ「ゴールパターンを増やすとかゴール前でどうゴールに持っていくかとか、選手としてのレベルアップをしていければ。また来年に向けてチームでやっていきたい」と誓った。20年も森保ジャパンの真ん中には、南野「帝王」が君臨する。【浜本卓也】

 

▼連続試合ゴール 南野が9月10日のW杯2次予選初戦ミャンマー戦から4試合連続ゴール。W杯予選の開幕から4試合連続ゴールは日本代表史上初めてで、93年のFWカズ(三浦知良)の3試合連続を更新。また、南野は9月5日の親善試合パラグアイ戦でもゴールを決めており、国際Aマッチ5試合連続ゴール。こちらは史上4人目で歴代2位タイ。過去3人の連続ゴール期間中にチームが5連勝はなく、今回の南野のように「5戦連発&5連勝」は初めて。