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[関東2部]複数クラブが獲得に乗り出した早稲田大GKヒル袈依廉、広島入団の決め手「同郷の先輩への憧れ」「GKコーチとの縁」

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卒業後の広島入りを決めたヒル袈依廉

 GKヒル袈依廉(4年=鹿児島城西高)の姿は早稲田大の応援席にあった。4月28日に行ったリーグ第3節・慶應義塾大戦を前にした練習中に右手指を脱臼してしまったという。「骨には異常はなかったんですけど、3週間の安静ということでした」。しばらくは仲間に声援を送る日々となりそうだ。

 3月27日にサンフレッチェ広島から25シーズンの入団内定が発表になった。オーストラリア人の父と日本人の母を持ち、長身を武器としたプレースタイルは少年期から注目されてきた。早稲田大では2年生でレギュラーを獲得。Jクラブも早くから熱視線を送り、これまで4つのクラブで練習参加を経験した。

 広島から最初に声がかかったのは大学2年生の9月だったという。広島からの打診があった時は驚いたようだが、菊池新吉GKコーチが以前から興味を持ってくれていたことを聞かされた。「僕が中学生の時から追ってくださっていたみたい。いろんな巡り合わせがあったと思います」。合縁奇縁を感じることになった。

「新吉さんがフロンターレでGKコーチをしているときに、僕が全中準優勝したときの試合をみて下さっていて。そこから追ってくださっていたようです。最初は中学卒業で呼ぼうとしてくれていたという話も聞きました。そこでは叶いませんでしたが、高校、大学を経て再会という感じです」

 また何より広島には憧れる先輩がいた。3歳年上のGK大迫敬介は同じ鹿児島県出身。大迫が出水市、ヒルが鹿児島市出身だが、大迫の名声は轟いており、「僕が小6の時にサコ君が中3でギリギリ鹿児島にいた。県のトレセンとかで見かけたりしていたので、一方的にみていました」。初めて喋ったのは広島に練習参加した時だというが、憧れの話ができたり、鹿児島の話で盛り上がったことが嬉しかったという。

「一番は大迫選手のもとで切磋琢磨したい思いが強かった。安定感が全然違うし、ゴールを守る姿勢だったり、攻撃のかかわりはずっと参考にしてきた。今も代表の一角を争う選手ですし、広島はスタメンを取ったら日本代表が見えてくるという分かりやすいポジションだと思う。盗むものは盗んで、上にチャレンジしていきたいなと思います」

 4年生シーズンを迎える直前に進路を決めたヒルだが、広島のほかに早くからオファーを出してくれたクラブもあったようだ。「本当に有難いお話。いろんなチームでどういうサッカーがあるのか、それといろんなGKコーチのもとでいいアドバイスを貰うことができた。ここ1年ちょっとで足元の技術も向上していると実感している。ただまだ技術や精神面で課題はあるので、改善していきたいなと思います」。誰がみても発展途上。無限のポテンシャルを秘めた長身GKが、荒波に揉まれることで才能を開花させる。

(取材・文 児玉幸洋)

●第98回関東大学リーグ特集
児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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