プレミアリーグ マンチェスター・ユナイテッド

マンUが最低順位更新の危機!その要因とは【プレミアリーグ2023/24】

写真:Getty Images

プレミアリーグ(イングランド1部)2023/24シーズンのマンチェスター・ユナイテッドがどうも落ち着かない。FAカップ準々決勝ではリバプール相手に延長戦までもつれ込む死闘を繰り広げ、4-3という劇的スコアで勝利したかと思えば、続く準決勝ではイングランド2部のコベントリー・シティに大苦戦。3点リードにも関わらず追いつかれる屈辱を味わい、延長戦後半のアディショナルタイムにはあわや逆転負けかと思われる場面をVAR(ビデオアシスタントレフェリー)によって救われた。試合はPKによりユナイテッドが勝利したものの、選手含めサポーターも手放しで喜べる決勝進出とはならなかった。

またプレミアリーグでは第33節終了時点で7位と、UEFAチャンピオンズリーグなどヨーロッパの舞台へ進むには絶望的な状況となっている。ユナイテッドの過去最低順位はデイビッド・モイーズ監督が率いた2013/14シーズンの7位だが、今シーズンはその順位をさらに下回るのではないかと危惧されている。いったいなぜユナイテッドはここまで苦しんでいるのか?今回の記事では、クラブがピッチ内外で抱えている問題について見ていこう。


ラスムス・ホイルンド 写真:Getty Images

怪我人続出の非常事態

2023/24シーズンのユナイテッドを語るうえで避けて通ることができないのが、続出する怪我人の問題だ。開幕当初は新加入のFWラスムス・ホイルンドが背中の痛みを訴えスタートダッシュに失敗。また同じく新加入選手として期待されたMFメイソン・マウントも負傷離脱のためリーグ戦における出場はわずか12試合に留まっている。

シーズン終盤にはディフェンダー陣が大量離脱。センターバック(CB)ではリサンドロ・マルティネス、ラファエル・バラン、ジョニー・エバンズ、ビクトル・リンデロフが、サイドバック(SB)でもルーク・ショー、タイレル・マラシアが負傷し、本職左サイドバックの不在やCBの位置にMFカゼミーロが入るという緊急事態も発生した。

ユナイテッドは2023年9月に、直近までアーセナルのメディカル部門でトップを務めていたギャリー・オドリスコル氏を召集。クラブドクターの見直しを図ることで選手たちのフィジカル面は向上するかと思われたが、実際は近年類を見ないほど負傷者が続出するシーズンとなってしまった。

これにより、CBウィリー・カンブラワやMFオマリ・フォーソンらユース出身選手たちが出場と実戦の機会を得られたことや、SBアーロン・ワンビサカの左サイドバック起用などいくつかの収穫はあった。しかしそれ以上に、ほとんどの試合をベストメンバーで戦うことができなかった現実が、過去最低順位を更新してしまいそうな危機を生んでいる。


エリック・テン・ハフ監督 写真:Getty Images

見えてこないテン・ハフ監督のサッカー

「これほど怪我人が多くては、やりたいサッカーなどできるわけがない」という言い分が、エリック・テン・ハフ監督にはあるかもしれない。確かにこの状態のチームを率いるのは容易でないだろう。しかしその点を考慮しても、今シーズンにおけるテン・ハフ監督の戦術には疑問が残る。

同監督は以前「アヤックス(オランダ1部のアヤックス・アムステルダム)でしていたサッカーをユナイテッドで実践することは決してない。ユナイテッドではよりダイレクトにプレイする」と語っていたが、それが体現されているようには到底思えない。GKアンドレ・オナナの獲得により向上すると思われていたビルドアップも改善の兆しが見えず、最終的にはロングボールに逃げる場面が度々見られる。これは選手の問題だけでなく根本的なビルドアップのルールが存在していないと感じる。

さらに攻撃も単調なものだ。ゴール前での積極的な崩しは見られず、セットプレーでも何かしらのデザインを仕込んでいる様子は見られない。FWアレハンドロ・ガルナチョの飛躍といったポジティブな要素はあるものの、その他のFW陣にはやや物足りなさを感じる。第33節終了時点でクラブ内得点王(リーグ戦)はMFブルーノ・フェルナンデスの8得点。チーム全体における得点力の低さが露呈するシーズンとなっている。特に10番FWマーカス・ラッシュフォードに対する要求が高まることは必然であり、現在の調子が回復しなければ来シーズン以降もスタメンを維持することはできないだろう。FW陣には明らかに競争が足りておらず、来季の移籍市場で攻撃的なプレイヤーの獲得は必須である。

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名前:浅野 凜太郎

趣味:サッカー観戦、旅行、音楽鑑賞、撮影
好きなチーム:マンチェスター・ユナイテッド
ワールドカップに行くことが夢です。よろしくお願いいたします。

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