開幕8戦無敗(5勝3分け)で首位に立つセレッソ大阪のMF上門知樹(うえじょう・さとき、26)が今季、三刀流で新境地を開拓している。

本来はFWやインサイドハーフ(攻撃的MF)が主戦場だが、故障者の関係で開幕前から3つ目のポジション、未知のアンカー(守備的MF)にも挑戦。「やりがいを感じる」という背番号7は、17日のルヴァン杯2回戦J3岩手戦では、アンカーとしては公式戦で初先発し、フル出場で勝利に貢献した。

「僕も点を取りたい気持ちはあるが、監督に任されたポジションで役割を全うすること。優勝を狙っているので、どこで出ても、与えられたことをしっかりこなさないといけない」

軌道の予測が不可能なドライブシュートが代名詞の上門は、元々は足技の技術が高く、小回りがきき、運動量もあるため、どの位置でも適応力がある。

今季リーグ戦はここまで全8試合に出場。FWで先発した1試合以外、7試合は後半途中から中盤の仕事を託されている。

21日のアウェー名古屋戦も途中投入され、2、3列目でハードな守備を披露しつつ、今季初得点のミッションを担うかもしれない。

27日が誕生日の上門は、その名古屋戦が26歳最後の公式戦になる。リーグ戦での敵地名古屋戦はここまで6戦未勝利が続き、5連敗中。最後に勝ったのが、14年5月3日という鬼門の場所だ。

ただ、3-1で勝利した昨年8月26日のホーム名古屋戦では、上門がJ1初体験の1試合2発をマーク。相性のよさも武器に、チームの無敗記録を伸ばしたい。

小菊昭雄監督(48)は「アンカーはスキル、プレーの質が高くないとできない。3列目から飛びだしていけるし、どんどん化けていくのではないか。大谷じゃないが、トライしていってほしい」。打者との二刀流で世界的スターになったドジャース大谷翔平投手(29)を例え話に、期待度の高さを表現している。

◆上門知樹(うえじょう・さとき)1997年(平9)4月27日、沖縄・うるま市生まれ。沖縄県立与勝(よかつ)高、琉球(J3、J2)、J2岡山を経て、22年C大阪に移籍。J1通算54試合6得点。166センチ、61キロ。愛称「浪速のジョー」。

◆鬼門 C大阪がリーグの敵地名古屋戦で最後に勝ったのは、14年5月3日の豊田スタジアムになる。ポポヴィッチ監督の下で柿谷が先制点、フォルランが決勝点を挙げ、2-1で競り勝った。当時出場した選手で現在も在籍するのは、主将DF山下だけ。