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昨年6月以来の復帰戦で特長発揮。神村学園の注目FW金城蓮央は「13」の先輩たちに「負けないぐらいのプレーを」

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神村学園高FW金城蓮央(3年=神村学園中出身)は復帰戦で抜群のスピードを活かした抜け出しやドリブルなど特長を発揮

[4.14 プレミアリーグWEST第2節 帝京長岡高 4-0 神村学園高 長岡NT]

 注目FWが、「13」を背負って帰ってきた。神村学園高(鹿児島)のFW金城蓮央(3年=神村学園中出身)が後半開始から出場。昨年6月以来となるプレミアリーグのピッチに立つと、抜群のスピードでチャンスに絡むなど復帰戦で特長を発揮していた。

 チームは前半に3失点。それでも、逆転勝利を信じて強力FW金城を投入した。出場直後はなかなかタイミング良くボールを受けられなかったが、後半18分に右サイドを抜け出したFW日高元(2年)のラストパスに反応。GKと1対1になった。だが、GKをかわし切れずにボールを失い、天を仰いだ。

 それでも、時間が経つに連れて周囲との連係が向上。ボールに係る回数が増加し、ヒールパスで味方のシュートを演出するシーンもあった。そして、初速から他とは異なるスピード感のドリブルや積極的な抜け出し。「自分が背後に抜けて、相手を疲れさせることはできたのかなと思います」。GKの好守に阻まれたものの、後半アディショナルタイムにも鋭い抜け出しからシュートまで持ち込んで見せた。

 金城は「0-3で負けてたんで。後半から出るって(監督の)有村先生に言われて、自分が点取るしかないなって思ったんですけど、点決めれなかったっていうのは凄く悔しいです」と首を振る。だが、待望されてきた高速アタッカーが、復帰戦で今後に期待を抱かせるようなパフォーマンス。有村圭一郎監督も「(0-4の敗戦だったが)アイツが入って、光が見えてきましたね」と前向きな評価だった。

 金城は神村学園中3年時にFW名和田我空(3年)らとともに全国中学校大会優勝。神村学園高1年時にはU-16全国大会の「ミズノチャンピオンシップU-16 ルーキーリーグ」(12月)で得点王に輝くなど圧倒的なプレーを見せてチームを初の決勝進出、準優勝へ導いた。そして、直後の全国高校選手権は国立準決勝で先発出場。大会後にはU-17日本高校選抜に選出された。

 高校2年時にはプレミアリーグWEST開幕からの9試合中8試合に出場し、3得点。インターハイ予選決勝で貴重なゴールを決めるなど、強力攻撃陣の中で存在感を放っていた。だが、昨年7月に左膝半月板を負傷し、翌月に手術。選手権にも間に合わなかった。

 負傷直後が精神的に最も苦しかったという。また、自分がピッチから離れている間に同僚の名和田や同じ九州の注目ストライカー、FW高岡伶颯(日章学園高)がU-17ワールドカップに出場。世界相手に印象的なゴールも決めた。金城は「同学年の我空と高岡伶颯が世界で結果を残して、自分もそれぐらいの力を身につけたいなって思います」。その一方、サッカーができない中でチームをサポートしたり、先輩たちに声を掛けたり、周囲に良い影響を与えることができたと実感している。

 そして、我慢強くリハビリを続けて待望の復帰。チームからは、特別な番号を託されている。「13」は昨年が現仙台のFW西丸道人、一昨年は現ボルシアMGのFW福田師王が背負った番号だ。いずれもエースストライカーとしてチームを牽引。金城は、「師王さんと道人さん、次で自分が来たんで、それにプレッシャーに負けないぐらいのプレーを見せていきたいです」。責任のある「13」に相応しい活躍を目指す。

 神村学園が“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグを戦う上で、金城の復帰は大きい。盟友の名和田は、「(金城は)まだコンディションが100パーセントではないですけど、やっぱり一瞬のスピードや、背後に抜け出しっていうのは今日も見せてくれてたので。これからもっともっとチームとして蓮央の使い方だったりっていうのは合わせていきたい」。金城のスピードを活かしながら、チームの得点数を増やしていく。

 金城の自己評価は「まだ力が足りてない」と厳しいが、練習から成長を続ける考え。そして、「とりあえず、結果で見せつけたいです。早くみんなとサッカーしたかったんで、復帰できたのは凄く嬉しいですし、チームでインターハイ、選手権、プレミアと3冠という目標があるんで、その目標に貢献できたらと思います」。高校サッカーの主役にもなりうるポテンシャルの持ち主は慌てずに一歩一歩。目の前の試合に集中し、結果を残し続ける。



(取材・文 吉田太郎)


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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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