しびれるスルーパスだった。川崎フロンターレMF瀬川祐輔(30)が、0-1で敗れた7日のFC町田ゼルビア戦でみせた。

右サイドバックで先発した瀬川は後半26分、GKチョン・ソンリョン(39)から浮き球のパスを受けると、胸トラップで相手をかわし、ボレー気味なパスを相手DFの間を通した。FW小林悠(36)の抜け出しを演出し、相手GKを退場に追い込んだ。

「あれは完璧じゃないですか。イメージ通りですね。(脇坂)泰斗がバックパスの落としの位置にいたので、ソンさんのボール的にもあそこに落とすのが普通。落としても怖くないなと思い切りいって、ぱっとみたら悠さんが抜け出していた。完璧でしたね」

瀬川だからこそできるプレーだった。もともと2トップで生きるタイプのFW。攻撃が強みだ。それでも対人の強さや強度の高さ、気の効くプレーでインサイドハーフやサイドハーフもこなし、昨季途中からサイドバックでも起用が増えている。30歳で迎えた今季はすでに3試合、右サイドバックで先発している。「鬼(木達)さんから常に言われるのは、サイドバックでもあり、ウイングでもありということ。コンバートされている訳でもない。自分の捉え方を柔軟にできれば。ああいうプレーができるのは自分の特長。プラスに考えたい」と言い切った。

チームは15位と波の乗れていない。オフにはチームを長く支えた両サイドバックが抜けた。その穴を埋める活躍が期待される。「相手の怖いところに向かっていくと自分の特長が出る」。途中出場が多かった昨季6得点の攻撃センスを生かして、チームで替えの効かない存在になる。【佐藤成】