J1札幌 MF宮沢裕樹のヘッドで今季初勝利…17年目のMr.コンサ「このために戦ってきて良かった」

スポーツ報知
後半28分、先制点をアシストした札幌・長谷川は、観客席に向かってガッツポーズする(カメラ・砂田 秀人)

◆明治安田J1リーグ▽第7節 札幌 1―0 G大阪(6日、札幌ドーム)

 北海道コンサドーレ札幌が、7戦目で待望の今季初勝利を挙げた。ホーム・G大阪戦は後半28分、MF長谷川竜也(30)の右クロスにMF宮沢裕樹(34)が頭で合わせて先制。2002年10月29日のアウェー・広島戦以来となるフィールド選手最年長が決めた得点を守り抜き、1―0で勝利した。08年の加入から札幌一筋を貫く「ミスターコンサドーレ」が、右太もも裏肉離れからの復帰2戦目、トンネルから抜け出す大仕事を演じた。

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  札幌を心から愛する宮沢が、チームを窮地から救った。後半28分、長谷川から右クロスが上がった。「体が伸び切ってたので、逆サイドまでは持っていけない。そのままたたこうと」。目いっぱい跳び上がり、頭で合わせた弾道がゴールに入ると、絶叫し、仲間にもみくちゃにされた。開幕から7戦目、自ら手にした初白星に「勝つことが大きいので。このために戦ってきて良かった」とほほ笑んだ。

 3日の名古屋戦で、右太もも裏肉離れから5試合ぶりに復帰した。中2日で迎えた一戦も「何とか90分間、貢献したい」と気持ちを奮い立たせた。「ベンチからは何度も『大丈夫か』と聞かれた」が、ピッチを去る気はなかった。フィールド選手最年長は体を張り、声を出し、フルタイムを走り切った。「チームを助けられたのがうれしい」。普段通り、自身の活躍よりも、勝ち点3取りを何より喜んだ。

 4度目の降格となった2012年、開幕から8戦で1分け7敗と勝ちがなかった。最下位に終わった同年、主力を務めていたが「負けが多すぎて、初勝利がいつだったか思い出せない」と振り返るほど、苦しんだ。その年のオフには他クラブから正式オファーも届いたが、最後に残留を選んだ。今季で札幌一筋17年目。「現役引退するまでここでやる」と“生涯コンサ”を心に決めている。

 昨季は27試合出場も先発は18試合と、定位置を約束されていた以前と、立ち位置は異なる。ただ一つの信念は変わらない。「どんな時もチームのために」。開幕の福岡戦で負傷した。その後も続いた熊本でのキャンプ中、率先してボール拾いをし、ゴールを運び、控室の掃除もした。「やることがないから」とうそぶきながら、下支えするベテランの姿が、悪い状況下もチームを結束させる一因につながった。「苦しい時代も経験してるが、今の札幌は違う。こんな下にいるようなチームじゃないから」。二度と苦い思いはしないために、労を惜しむことはない。

 1勝こそ手にしたが、最下位にとどまる状況に、宮沢は「まだ何も変わってない」と表情を引き締め「今日も本来の出来には程遠い。改善していかないと」と指摘は忘れなかった。巻き返しへ、鬼にも仏にもなれる宮沢の存在は、札幌の最大の力になる。

(砂田 秀人)

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 札幌の陰の立役者が、初勝利をアシストした。後半19分からピッチに立った長谷川が、右クロスで宮沢の決勝点をおぜん立て。「パッと見た瞬間に、どこに人がいるかは分かるので。そこに正確なボールを入れることは練習からしてきたから」。感性から導かれた逆サイドへの完ぺきなボールで、苦境脱出につなげた。

 今季加入し、7試合中6戦が途中出場。しかしその役割がチームを活性化させる。「サブがスタメンに与える影響は大きいと思っている」。16年から6年間プレーしたJ1川崎では、4度のリーグ優勝を果たした。当時に控えだった際、紅白戦などで高いレベルの攻防を繰り広げることで、組織力が高まると実感した。「ベンチ外の選手も普段から激しく厳しくやっている。それにみんなが人のせいなどにせず、自分たちで崩れない。そういう札幌の良さが、この勝利を呼び込んだ」。得た確信を胸に、長谷川が引き続き、全力で底上げに努めていく。

 〇…MF荒野拓馬(30)が、主将としての初勝利を手にした。今季就任し、7戦目での白星に「時間はかかったが1勝できたことは次につながる」と静かに口にした。名実ともチームを引っ張る立場となるも、結果が出ない日々が続いた。「正直苦しい時間だったが、僕自身が明るくして、チームを前向きにしよう」と声がけは忘れず、選手間ミーティングも重ねた。「ばらけることなくやってきてようやくつかんだ勝利」。一丸となって結果をつかみ、そう喜びをかみ締めた。

 ☆FW大森真吾(今季初先発)「ポストのところの精度はもっと上げていかないと。シュートを打ててないんで、どういう風に自分の形に持っていくかは今後の課題」

 ☆DF高尾瑠(昨季まで所属したG大阪から白星)「元々のチームメートが相手だったので絶対に負けたくないと気合が入った。この勝ちから上に行きたい」

 ☆DF馬場晴也(完封勝利に)「後ろの選手なので0で抑えられて良かった。勝てたけど、まだ改善できるところはある。もう少しチャンスは増やさないと」

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