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グループリーグ第2戦までを終え、すでに勝ち点4を手にしていた日本は、最後の第3戦を前にグループリーグ突破が決まっていた(他のグループの結果により、もし日本が第3戦に敗れてグループ3位になったとしても、3位チームのなかの成績上位4チームに入ることが確定していたため)。

 つまり、順位にさえこだわらなければ、第3戦は勝敗を度外視できる、いわば消化試合だった。

 それでも、U-17日本代表を率いる森山佳郎監督は試合前、選手たちにはっきりと伝えた。

「100%勝ちに行くぞ」

 そして、選手たちは気持ちの入ったプレーを90分間続け、その檄に応えた。

 U-17ワールドカップのグループリーグ第3戦、日本はセネガルに1-0で勝利した。この結果、2勝1分けで勝ち点7とした日本は、2勝1敗で勝ち点6のセネガルを上回った。すなわち、日本はグループDを堂々の首位通過である。

「自分個人も何回か相手にウラを取られてピンチになった。2、3人でカバーしないと、1対1になってしまえば一発でかわされる。個の能力では相手が上だった」

 第2戦までのセンターバックから、この試合では右サイドバックへと回った、キャプテンのDF半田陸がそう語ったように、日本は何度となくセネガルのスピードに圧倒される場面にさらされた。セネガルは、過去2戦では立ち上がりの出来が悪く、いずれも先に失点を許していたが、この試合では、試合序盤からスピードある攻撃を繰り出し、何度も日本陣内に攻め入った。

 しかも、日本は前半早々、ボール奪取能力に優れたボランチのMF田中聡が、ヘディングの競り合いで頭を強打。ピッチサイドで治療を受け、一度は試合に戻ったものの、結局は交代となり、序盤で守備のキーマンを失うことになった。前半の半ばすぎから、ようやくパスをつなげるようになった日本だったが、前半のラスト15分ほどは、セネガルの連続攻撃を浴び続けた。半田が振り返る。

「セネガルは前線(の選手)の足が速いので、(日本の)DFラインが下がったが、FWはそのままの位置にいたため、(全体が間延びして)ボールの出どころにプレッシャーがかからなかった。(サイドにはスピードある選手がいたので)サイドハーフも絞るに絞れず、間にパスを通されてしまった」

 セネガルのスピードに乗った攻撃の前に、もはや日本のディフェンスは決壊寸前。ゴールを許すのは時間の問題かに思われた。

 しかし、日本は鈴木海音、村上陽介の両センターバックを中心に、体を投げ出すようにしてセネガルのシュートをブロック。どうにか猛攻をしのぎ、前半を0-0で乗り切った。

 すると、ハーフタイムを挟み、次第に試合の流れが日本へと傾き始める。潮目が決定的に変わったのは65分、FW西川潤の投入がきっかけだった。

 技術に優れる西川は、周囲と連係しながらボールを前へと運び、自らもフィニッシュに絡むことができる。巧みに左足を操るレフティーは、出場から10分足らずで、立て続けに2度の決定機を作り出した。

 そうして迎えた83分、"その瞬間"はやってきた。

 MF藤田譲瑠チマからの縦パスを受けた西川は、ドリブルでペナルティーエリアに進入。冷静にGKの動きを見極め、左足を振り抜いた。ボールは芝の上を滑るようにゴールへ向かうと、GKの右足とゴールポストのわずかな隙間をすり抜け、ゴールネットを軽やかに揺らした。殊勲の背番号10が語る。

「トラップがうまくいって、(前を向いたら)GKが出てこなかったので、ニアを狙って蹴った。チームの勝利に貢献したいと思っていたので、決められてよかった」

 実は試合前、西川は森山監督から「後半開始から行くと言われていた」という。

 ところが、田中が前半で負傷交代したことで、「プランが狂った」(森山監督)。グループリーグ初戦では、3人の交代カードを使い切ったあとに、複数の選手の足がつってしまうという事態を招いたこともあり、本来は思い切りのいい指揮官も、さすがに西川投入をためらわざるを得なくなった。

 だが、スコアレスのまま動かない試合を見て、森山監督は腹をくくった。

 もちろん、送り出された西川も、セネガルの猛攻に耐えるチームメイトの姿を目にし、期するものがあった。

「前半からみんなハードワークしていたので、絶対にチャンスがあるなと思っていた。決められる自信はあった。思いどおりになった」

初戦から優れたテクニックとアイディアを披露し、スタンドの観衆はもちろん、ヨーロッパからやってきたエージェントやクラブのスカウトをも魅了している西川は、もはやこの大会の顔になりつつある。この試合でも、西川が交代出場のためにベンチからピッチへ向かうと、スタンドからは大きな歓声があがった。西川のプレーには、目の肥えたブラジルのサッカーファンでさえも引きつけるだけの力がある。

 森山監督曰く、「ここまで疲れを引きずりながら、だましだましやってきたが、状態はかなりよくなってきている」という西川。コンディションが上がっていけば、これから先、"西川株"がさらに高値をつける可能性は十分にある。

 とはいえ、この試合の最大の勝因を挙げるなら、セネガルの猛攻に耐え、無失点に抑えた粘り強い守備に尽きるだろう。森山監督もこう称える。

「(セネガルの攻撃は)体験したことのないレベルのスピード、推進力、迫力だったが、止められないような攻撃を何度も止めてくれた。最後まで(集中力を)切らさず、チャレンジしてくれた」

 今大会初出場となった村上も、相手の高速カウンターには「(対応するのが)厳しいところはあった」と正直に認めつつも、「やっていて徐々に慣れていった。対人のところでは体を張れた」と胸を張った。

 グループDは、ヨーロッパチャンピオンのオランダを筆頭に強豪がそろい、日本の苦戦は必至かと思われた。順位はともかく、グルーリーグを突破できれば御の字。グルーリーグ敗退も十分ありえる。客観的に見て、それが妥当な予想だったはず。

 ところが、終わってみれば、日本は見事に首位通過。第3戦では主力を温存する余裕まで見せ、先発メンバーを大きく入れ替えながら、チーム一体となって粘り強く戦い、最後には勝利をつかみ取った。オランダ戦での完勝に始まり、率直に言って、うれしい誤算の連続である。

 日本の決勝トーナメント1回戦の相手はメキシコ。「とにかく強い相手とやりたい」と常々話している森山監督にしてみれば、願ってもない相手だろう。

 日本は目標のベスト4進出へ、まずは第一関門突破。勢いに乗るチームは、最高の雰囲気で次なる関門へと向かう。

浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191104-00876590-sportiva-socc&p=1



1 2019/11/04(月)
若手が大きな実績を残さなくても、ヨーロッパのスカウトはそのポテンシャルで判断してオファーしてくるから、今後の動きが楽しみ。

2 2019/11/04(月)
3試合通して、ザイオンが素晴らしいと思った。
この試合でもDFの背後取られること何回かあったけど、思い切りよく飛び出してクリアしてくれた。
ああいうプレイするとラインも上げられるし、コンパクトにできるからプレスも効くようになる。
フィードもいいし、ハイボールも悪くないし、日本を代表する選手になって欲しい。

3 2019/11/04(月)
西川はセレッソの攻撃陣怪我人が多いし意外とはやく出番があると思う
湘南組もJ2落ちたら一気に戦力抜けるしいきなり主力になるようなメンツもいるかも
個人的には山形の半田が本当楽しみ。
モンテディオどころか歴代の山形出身のサッカー選手の中でも一番の選手だと思うわ

4 2019/11/04(月)
いい記事ですね。
DF等が身体をはっていたというのが伝わります。
身体をはるというのは、教えてできるものではない。他のコメ主さんの言うとおり、3戦で失点ゼロで抑えたのが、素晴らしいですね。今までと違う。

5 2019/11/04(月)
間違いなく西川潤選手はテクニック、スピード、パスセンス、得点と日本人の中でも秀逸な能力を持ち合わせている。
でも今回は西川選手1人ではなく、何人もの日本人選手に可能性を感じつにいられない。
FW若月選手はもちろん、Gk鈴木Zion選手、ボランチ藤田選手とDF半田陸選手の4人の選手も才能を感じる。
西川選手以外にも、もっともっと活躍する選手が出てくれば、自ずと日本チームが優勝する確率が上がってくるはずである。

6 2019/11/04(月)
西川はいい選手だね。
こんな選手がいるんだ。
身長もあって、技術もあって、得点能力もある。
フィジカル的にも今後どんどん強くなってくるだろう。
どこまで伸びるか楽しみな選手だ。
こりゃ、久保をしのぐ逸材かもしれない。
レアルのユースでやっている中井(ピピ)もいるし、こういう能力の高い選手がどんどん出てくるのだろうね。
楽しみである。

7 2019/11/04(月)
まさにエースの働き。
技術、決定力、リーダーとしての働き。
彼には大いに期待してます。
ただ、メキシコは強敵。首位通過したんだから、是非とも決勝までチームを導いて欲しい。

8 2019/11/04(月)
高校生年代のスターに試合を経験させる意味でも、u-23のJ3参戦は続けて欲しいんだけどね。

9 2019/11/04(月)
半田には日本を背負うDFに
成長してほしい。

10 2019/11/04(月)
西川本人はヨーロッパで練習参加してきた結果、まだそのレベルじゃないからまずはJリーグで経験積んで結果出すと言ってる模様

11 2019/11/04(月)
U20W杯まで待つのもありだけど、近頃はU17W杯から品定めされるんだね。そのまま欧州コースもできたら面白い。これまでのパターンは21歳、22歳で欧州中堅クラブからのステップアップだったが。。
久保が出てきたからな。今の10代はどんな選択するのだろうか。これからどうなるか見守ります。

12 2019/11/04(月)
西川は冷静でしかも巧い
ヨーロッパで活躍できるポテンシャルがある選手だ

13 2019/11/04(月)
西川はいまでも凄いと思うが、今後どれぐらいのクラスで
プレー出来るか楽しみ

14 2019/11/04(月)
フットボールが上手い以上にチームを勝たせるというスター性も感じる選手。

15 2019/11/04(月)
西川若月のチームかと思いきや、3試合無失点ってところが良いね。
危ないシーンもあったけど、90分よく耐えた・・・。

16 2019/11/04(月)
西川には来年日本代表に入って史上最年少のゴールを決めてほしいね。

17 2019/11/04(月)
西川は、スピードもあるが、緩急の付け方が上手い。点も採れるしゲームも作れるので将来に期待したい◦

18 2019/11/04(月)

西川選手へパスが届くと、ワクワクします。
メキシコ戦も期待しています。

19 2019/11/04(月)
西川いる無しで別チームになる。若月、鈴木も期待大!

20 2019/11/04(月)
西川は素晴らしい選手ですが、
このチームの今の強さは当然ながら彼だけの力によってもたらされてるわけではないですね。
キャッチーな記事タイトルの向こうに
浅田さんの配慮が見えます。

21 2019/11/04(月)
色々楽しみですね!

22 2019/11/04(月)
攻撃は西川、守備は鈴木彩艶が素晴らしい。
メキシコ戦も頑張れ!

23 2019/11/04(月)
選手の距離感がいい。やられる感じは全くない。

24 2019/11/04(月)
テクニックはある!
ただ、まだまだ!!

25 2019/11/04(月)
潤がセレッソのトップで活躍するのが楽しみ。

26 2019/11/04(月)
メキシコかあ!
また
厳しいなあ
がんば!

27 2019/11/04(月)
半田陸は…上背がもう少しないと海外でCBじゃ無理だろうから〜アンカーやサイドでやれるスキルを身に付けるしかない。

28 2019/11/04(月)
今まで代表でもクラブでもノーゴールの久保を見てると、西川や若月に期待してしまう。

29 2019/11/04(月)
見方が日本のサッカーをしない環境でどこまでやれるか。

30 2019/11/04(月)
あまり騒がれてないが、試合を観たところ、背番号14の中野が素晴らしかった。順調に成長すれば、柴崎岳の後継者になれる。












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