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山根視来が決死の覚悟で臨んだ川崎での天皇杯決勝。「俺が外して、チームが負けて、移籍しますは絶対に違う」【インタビュー/パート2】

カテゴリ:海外日本人

本田健介(サッカーダイジェスト)

2024年03月29日

チームメイトへの厳しい要求も

昨年の天皇杯制覇を大いに喜んだ山根。チームメイトともにトロフィーを掲げた。(C)SOCCER DIGEST

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 2024年、川崎からMLSのロサンゼルス・ギャラクシーへの移籍を決めたのが、日本代表としてカタール・ワールドカップにも出場した右SBの山根視来である。30歳での初の海外挑戦。その姿を追ったインタビューを3回に分けてお届けしよう。

――◆――◆―― 

 山根は2022年の年末には夢であったカタール・ワールドカップ出場も果たしてみせた。ピッチに立ったのは先発したグループリーグ第2戦・コスタリカ戦での62分のみだったが、「自分のやりたいプレーも出せた一方、逆に経験が足りないなと思う場面もあった」と、躍進した日本代表の一員として貴重な経験を積んだのである。

 そして迎えた、昨年の2023年シーズン。川崎での4年目とあって、慣れ親しんだ環境で落ち着いてスタートすることができた。しかし、これが山根のなかでは引っかかっていたという。

「ワールドカップという目標に突き進んで、その大きな大会が終わった時に、クラブに戻って新しいモチベーションを見つけてサッカーに取り組むなか、やっぱり川崎はすごく居心地が良かったんです。

 キャンプもこういう感じでこうなっていくんだろうな、とイメージできてしまう自分がいた。そのなかでもちろん全力で取り組んでいましたし、より成長することを意識していました。ただ同時に環境はすごく大事だなと感じていました。

 僕は選手には『同じ環境でやり続けられる選手』と『厳しい環境に行くことで新たにエネルギーを生み出していく選手』の2パターンがいると思っています。僕は明らかに後者だった。だからこそ、思い悩んでいたんです。

 これはどちらが正解というわけではなく、現にフロンターレには長く在籍しても常にギラギラしている先輩たちがいて、自分もそういう人たちを見習っていけば、より成長していけるとの想いはありました。ただどこかで、スッキリしない自分もいた。もっとも移籍というのは自分がしたいと言ってできるものではない。だからこそ、まずは目の前のことに全力を尽くしていました」

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 価値観は人それぞれであり、考え方が異なるのは当然である。ただ、共通しているのは“今の自分よりも成長したい”という想いだろう。山根の胸のなかでもその気持ちが膨らんでいったに違いない。

 2023年シーズン、川崎はリーグ8位に甘んじたように厳しい1年を過ごした。その苦境において山根はあえて悪者になるかのように、チームメイトへ厳しい要求をし続けた。それは大好きなクラブへの彼なりの恩返しでもあったように映る。

「なぜか点がいっぱい入って勝つ試合もありましたが、とにかく失点が減らなかった。これってなぜだろうと考えると、やっぱり『日常が緩くなっているんだろうな』という考えに行き着いたんです。

 トレーニングが始まるというタイミングでも、ワイワイしているのは良いと思うんです。僕もそうしたいタイプですから。でも緩んだ空気になってしまうのは絶対に違う。だから周りに厳しい声がけをすることもありましたし、意見がわざとぶつかるような話をしたり、いろんなアプローチをしていましたね」

 
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