町田「オリジナル10」連続撃破で2位タイ浮上!決勝弾のパリ五輪世代MFを敵将称賛「日本代表に入っていく選手」

スポーツ報知
前半13分、町田・平河(右)が先制ゴールを決める(カメラ・頓所 美代子)

◆明治安田J1リーグ▽第3節 町田1―0鹿島(9日、Gスタ)

 J1初挑戦の町田は過去20冠を誇る鹿島を1―0で破り、2連勝で2位タイに浮上した。パリ五輪世代MF平河悠(23)がJ1初得点を挙げると自慢の堅守で逃げ切り、2試合連続完封でJ1ホーム初勝利。開幕からG大阪、名古屋、鹿島とタイトル獲得クラブに2勝1分けとスタートダッシュに成功した。16季ぶりに復帰の東京Vは開幕3戦連続で終了間際にPKを与え、C大阪に1―2で、5621日ぶりのJ1白星はならず。広島が鳥栖に4―0で快勝し、首位に立った。

 狙い通りの守備から、売り出し中のアタッカーが決めた。前半13分。敵陣での連動したプレスで鹿島の日本代表MF佐野からボールを奪うと、FW藤尾からのパスを受けた平河が仕上げた。「強く(藤尾の名前を)呼んだら、しっかりと(パスを)出してくれた。あとは落ち着いて決められた」。パリ五輪出場も狙う23歳が決めたJ1初ゴールで、常勝軍団・鹿島に土をつけた。

 高校時代は無名で、プロへの最後の望みを持って山梨学院大へ進んだ平河。当時の同大学は都リーグで、関東1、2部の下に当たるカテゴリーだった。そこで急成長を遂げ、21年に当時J2の町田に特別指定選手で加入。チャンスをくれたのが、今季より鹿島を率いるポポヴィッチ監督(11、20~22年町田監督)だった。「いい意味でしごかれたというか、サッカー人生において一番印象が強いくらいもまれた。大学生ながら起用してくださったのは本当に感謝してもしきれない。その前でゴールを取れて本当にうれしい」と平河は恩返し弾を素直に喜んだ。

 敵将も「決められたことは非常に残念ですが、彼(平河)の能力は日本代表に入っていく選手だと思う」と称賛。スピード、ドリブルのキレ味が特長だが、昨季よりチームを率いる黒田剛監督(53)の下で磨かれた守備力も武器に。この日は、前半は左MFでプレーしたが、後半は鹿島DF安西の攻撃参加を封じるため右MFへ。2試合連続完封にも貢献した。

 チームは開幕3試合でわずか1失点。それも直接FKからの失点で、流れの中ではいまだ無失点だ。G大阪、名古屋、鹿島とタイトル経験のあるオリジナル10から勝ち点7を奪い「大いに自信にはなるし、手応えも感じてきている」と黒田監督。全員で堅守を徹底し、平河ら個性的なアタッカーを生かしたゴールで初の連勝を飾った町田。初挑戦のJ1リーグで、今や話題の中心へと躍り出た。(金川 誉)

 ◆オリジナル10 Jリーグ創設時のクラブ、鹿島、市原、浦和、V川崎、横浜M、横浜F、清水、名古屋、G大阪、広島のこと。

 ◆平河 悠(ひらかわ・ゆう)2001年1月3日、佐賀・鹿島市生まれ。23歳。佐賀東高を経て進んだ山梨学院大で頭角を現し、21年に町田の特別指定選手に。23年より町田に正式加入し、昨季はJ2出場35試合6得点でJ1昇格に貢献。昨年6月の欧州遠征でU―22日本代表に初招集された。172センチ、70キロ。利き足は右。

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