【番記者の視点】東京V、16年ぶりのJ1勝利に必要なゲームチェンジャー

スポーツ報知
東京V・城福浩監督

◆明治安田J1リーグ▽第2節 浦和1―1東京V(3日・埼玉)

 東京Vが浦和と1―1で引き分け、2008年11月23日の札幌戦(1△1)以来、5579日ぶりにJ1で勝ち点を獲得した。

 前半42分にパリ五輪世代のFW木村勇大がJ1初得点となる先制点をマーク。開幕・横浜FM戦(1●2)と同様、勝利目前の後半44分にPKで同点とされたが、真っ赤に染まった大アウェーの中での勝ち点1は価値あるものだ。

 ただ、試合後の会見で城福浩監督が第一声で「本当に悔しい試合になってしまいました」と口にしたように、試合終盤までリードしながら、あと一歩のところで2試合連続で勝利がすり抜けてしまったこともまた事実だ。その会見の中で、指揮官がメッセージとして発信したのが「ゲームチェンジャー」の重要性だった。

 開幕戦では横浜FMが後半11分にヤンマテウス、宮市を投入し、同27分に南泰熈(ナムテヒ)、天野、さらに同36分に植中とギアを上げるアタッカーを次々に投入して勢いを加速させたように、この日の浦和も後半16分に興梠、岩尾、大畑の3枚交代でスイッチを入れ直し、同28分に中島、同37分に高橋とアタッカーを入れて、攻撃に厚みを加えていた。

 昨季の東京Vは5人の交代枠をほぼ毎試合フルで使ってきたが、開幕戦、今節ともに2枚を残している。リードした状況での交代カードの切り方について、開幕戦後に指揮官は「(開幕戦ではベンチに)守備が出来る選手が3人いたので、(交代で)どこのポジションで使うかというのは、かなりのメッセージになるんですけど、僕らは2点目も取れそうだった。そのメッセージを使うと、完全に引きこもって、前に出なくなってという状況になる」と振り返った。また同時に「ある選手が出たら攻撃バージョンに、ある選手が出なければ守備バージョンにはならないチームはやっぱり厳しい。そこは正直言って足りないし、鍛えていかないといけない」とチーム全体での課題を口にしていた。

 さらにこの日の会見でJ1で勝利をつかむために必要なこととして挙げたのは、交代出場する選手の役割についてだった。

 「クローズのところは、それが守り切るという表現がいいのか、相手陣で苦しい時にキープできるスキルを含めて、攻守においてゲームをクローズしていくということが、このチームにはやはり足りていない。選手層というか、攻守におけるゲームチェンジャーというものを育てていかないと。J1の日本を代表するクラブには、後から出てくる選手がゲームチェンジャーになるようなチームがたくさんあるので、攻守においてゲームチェンジャーになりうる選手を戦いながら育てていきたい」

 開幕時点で平均年齢は20クラブで最も若い24・1歳と、若い選手が日々の練習からどんどん育っていく土壌は間違いなくある。2試合を通して、戦う力があることは証明した。あとは一人、二人、三人と「ゲームチェンジャー」が試合の途中から出てくるようになると、間違いなく強くなる。(東京V担当・後藤亮太)

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