なでしこジャパンのドタバタ劇は春節も重なり中国開催案が二転三転…待ちの姿勢を強いられた

　日本サッカー協会は２０日、女子日本代表「なでしこジャパン」が北朝鮮代表と対戦するパリ五輪アジア最終予選第１戦（２４日）が、サウジアラビアのジッダで開催予定と公表した。試合開始時間は未定。選手、スタッフは２０日夜に２便に分かれて当地に向かった。試合直前に開催地がようやく固まり、ＤＦ熊谷紗希（３３）＝ローマ＝は「あってはならないこと」と本音を明かしつつ、長距離移動を乗り越えてパリ切符をつかむ。同予選はホーム＆アウェー方式。２８日の第２戦は東京・国立競技場で行われ、２戦合計の勝者が五輪出場権を得る。

　＊　＊　＊

　今回のドタバタ劇は北朝鮮戦の不透明なアウェー開催で起きた。日本に開催地の選択権はない。試合は当初、平壌の金日成競技場で予定されていたが、日本協会は空路の定期便がない状況や試合運営面を懸念。ＡＦＣが北朝鮮側に代替地を提示するよう求めたが、日本は基本的に待ちの姿勢を強いられた。

　北朝鮮が提示したとされる中国開催案は、中立地の中国側が最終的に断ったという。１７日まで春節（旧正月）による大型連休だったこともあり、中国との交渉自体が遅々として進まなかったとの見方もある。

　ＡＦＣ主導のサウジアラビア案が出た際、北朝鮮側が難色を示し、再度中国案を持ち出したという。この二転三転が、試合日まで１週間を切っても会場が決まらない異常事態につながった。日本にサウジ開催の方向性が伝えられたのが１９日。池田監督は「憤ることにエネルギーを使うより、ピッチの上で使おう」と選手に訴えかけた。今回を教訓にプレーヤーズファーストを考えるきっかけになればと願う。（田中　孝憲）