浦和サポ暴動で天皇杯参加資格はく奪…主力選手「仕事を奪われた」 第三者委公開シンポジウムで報告

スポーツ報知
浦和の第三者委員会による公開シンポジウムで武藤芳照委員長(左)から提言書を受けた浦和・田口誠社長(C)URAWA REDS

 昨年8月のサッカー天皇杯で浦和サポーターが暴徒化し、試合運営管理規定違反を犯した事案に関する第三者委員会が16日、公開シンポジウムをさいたま市内で行った。

 昨年8月2日の天皇杯4回戦・名古屋戦(CS港、0●3)後、名古屋サポーターの挑発に激怒した浦和サポーター計70人以上がフィールドへ飛び降り、相手サポーターや警備員に暴行し、横断幕や備品を損壊した。浦和は当該行為を行ったサポーターに入場禁止などの処分を下した。日本サッカー協会の規律委員会は同9月、浦和に対して24年度天皇杯の参加資格を剥(はく)奪。これまでにサポーター約50人に対して入場禁止などの処分を課した。

 第三者委(武藤芳照委員長・東大名誉教授)はスポーツ、教育、法曹、マスコミなど各界の委員8人で発足。昨年11月から3回実施し、約20人を対象にヒアリングを行った。〈1〉不適切行為の原因分析、〈2〉クラブが講じてきた対策の評価と問題点の洗い出し、〈3〉今後必要な対策の提言検討について分析、検討を進めてきた。

 松瀬学委員(日本体育大学スポーツマネジメント学部教授)は、当時現場にいたサポーターや警備・運営担当者、日本協会やJリーグ、浦和の選手など延べ15人へのヒアリングについて報告した。サポーター暴動の動機については、名古屋サポーターのヤジ・挑発に浦和サポーターが激怒したことで勃発。「早く帰れ」「こっちにかかってこい」「弱いな」などのヤジがあったという。また、浦和サポーターの熱狂的な気質や集団心理、敗戦のストレスなどに起因したと言及した。

 さらに、会場のCSアセット港サッカー場は普段、Jリーグなどの公式戦を開催することがないスタジアムで、フェンスが低く、警備体制が手薄だったと報告。過去にもトラブルがあった名古屋との因縁試合、応援における規律のコントロールが不十分だったことなどを挙げた。

 同委員は、ヒアリング調査で出た「クラブがサポーターに甘い」との認識を報告。浦和の主力選手からは「クラブ、サポーターは互いにリスペクトし、切磋琢磨して高みを目指す同士だと思う。ただ、クラブとサポーターの関係は親子みたいに見える」との声が挙がったという。これまで浦和サポ―ターが規律違反を犯すたび、クラブが“親”のようにサポーターを守ってきたという認識を示した。

 サポーターの愚行により、チームは今年度の天皇杯出場資格をはく奪された。松瀬委員によると、主力選手は「自分の仕事を取られた、奪われた」と受け止めたという。また、中学生ファンから「浦和レッズサポーターは何をやってるんだ。選手に迷惑をかけないでほしい」との言葉があったと明かした。

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