バーレーンはしぶとく、しつこく、荒く、命がけで戦ってくる 2015年に同国リーグでプレー斉藤誠司氏が語る

スポーツ報知
15年にバーレーンリーグのシトラクラブでプレーしていた斉藤誠司氏(本人提供)

 2015年にバーレーンリーグのシトラクラブでプレーし、現在はサッカースクールや選手の海外移籍に携わる斉藤誠司氏(37)が、バーレーン代表の特徴や警戒するポイントを語った。

(取材・構成=田中 孝憲)

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 ブラジル、モンゴル、コスタリカなど11か国のクラブに所属経験がある斉藤氏は、15年にバーレーンリーグでプレーした。同国代表については「球際は日本より強いかもしれない。フィジカルも結構強い。負けていてもしぶとく、しつこく、荒い感じでくるので日本にとっては嫌な存在」という。国内リーグでは外国人指導者らがつなぐ意識を植え付けている一方、周辺のイランやサウジアラビアなど強国と対戦する機会もあるため割り切った戦い方も得意。シンプルなつなぎや、ロングボールで得点を狙うこともできる。韓国戦でゴールした191センチの長身FWハシャシュをターゲットにした攻撃は迫力がある。

 守備は1対1に強くないため、組織力で勝負する。「1対1なら三笘君は勝てるだろうけれど、ブロックを作られるとスペースがなく、1人抜いても2人目がカバーしたりとやっかいになる」。チームを救うビッグセーブが光るGKルトファラも立ちはだかる。日本は過去8勝2敗と数字では勝るが、バーレーンの粘りに手を焼く場面も目立つ。

 アルゼンチン生まれで、スペイン代表としてフランスW杯にも出場したピッツィ監督の手腕も侮れない。「日本はかなり分析されているのではないか」。サウジアラビア代表監督時代はロシアW杯で指揮し、19年アジア杯では決勝トーナメント1回戦で0―1と負けはしたが、森保ジャパンを苦しめるなど経験豊富だ。「守りを固めながらのカウンターで日本の隙をついてくるだろう」

 バーレーンは政治的対立で昨年まで断交していた開催国、カタールとの国交が現在は回復。今大会は多くのサポーターが会場を埋めている。「1次リーグを1位突破したことで、サポーターのモチベーションがさらに上がっているはず。リーグの盛り上がりはそこまでじゃないけれど、代表戦になると熱が上がる。中東勢は本当に命がけで戦ってきます」。日本は敵地の雰囲気にのみ込まれないことも重要だ。

 「バーレーン人にとって、日本の選手は、世界で考えるとブラジルの選手みたいな感じ。アジアではブランドです」と斉藤氏。だからこそ、勝てば国中が熱狂することは確実。不気味な中東の“伏兵”が一発勝負で大金星を狙ってくる。

 ◆アフリカでのプレー目指す ○…斉藤さんは現在、埼玉県内で「セジニョサッカーアカデミー」を開講。語学も堪能でブラジルやポルトガル、スペインなどとパイプを生かしたマネジメント業務も行っている。また、プロサッカー選手を諦めておらず、プロ生活12か国目として自身未踏のアフリカでプレーすることを目指してトレーニングを重ねている。

 ◆斉藤 誠司(さいとう・せいじ)1986年5月27日、埼玉県生まれ。37歳。柏下部組織、年代別日本代表時代にブラジル・サンパウロFCの関係者に声をかけられ、同クラブの下部組織に入団。18歳でプロ契約。その後、ポルトガル、インド、マカオなど、世界11か国を渡り歩く。現在はプロサッカー選手としては「休業中」で、指導者、代理人、移籍などに携わりサッカー界に貢献している。

 ◆バーレーン ペルシャ湾に浮かぶ、国土面積は仙台市や奄美大島とほぼ同じ大きさの島国。人口は約150万人でうちバーレーン人は約72万人。首都はマナマ。1932年に石油の生産を開始、その後近代化を進め、71年に英国から独立した。FIFAランク86位。スポーツ選手の帰化にも積極的。2008年北京五輪ではラシド・ラムジが陸上1500メートルで金メダルを獲得したが、その後ドーピング違反が判明しメダルを剥奪(はくだつ)されている。

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