北海が札幌第一に1-0で完封勝ちし、11年ぶり10度目の優勝を果たした。後半17分にFW湊琢登(2年)が挙げた貴重なゴールを守り抜いた。今大会はDF松本広大主将(3年)を中心に5戦1失点と堅守ぶりを発揮。前回進出した15年の決勝で敗れ、教育実習生として赴任しているOBらに支えられ「ONE TEAM」で頂点へ。全国一番乗りで令和初の本大会(12月30日開幕、埼玉スタジアムほか)出場を決めた。

雲1つない秋晴れの空に北海の歓喜の声が響いた。1-0の後半ロスタイム、全員で攻め上がってきた相手の右CK。必死に体を張って守り切ると、勝利を告げる試合終了のホイッスルが鳴った。11年ぶりの全道頂点。長いトンネルを抜けた島谷制勝監督(50)は「悔し涙を流してきたOBも喜んでいると思います」とかみしめた。

夏のリベンジに燃えた。札幌第一には6月の総体道予選決勝で敗れている。19日の準決勝が終わると早めに会場を引き揚げ、約2時間のミーティングで対策を練った。相手の前線3人に対しては、サイドの選手が早めにマーク。全体のシュートを4本に抑えた。松本主将は「向こうの長所をつぶして、やりたいことができたと思う」と振り返った。

「ONE TEAM」で戦った。15年の決勝で敗れた加美山裕紀さん(天理大4年)らOB3人が9月30日からこの日まで教育実習生として母校に赴任した。守備の指導を任された加美山さんは「チャレンジ&カバー」を徹底し、連係の意識を高めて守備の強度を上げた。8、9月の道内公式戦では5戦して6失点だったが、今大会はわずか1失点にまとめた。

OB3人は今大会中はスカウティングでもサポートした。相手の特徴がビッシリと書かれたリポートによって、傾向と対策をつかんで試合に臨むことができた。「自分が味わった後悔をしてほしくなかった」と加美山さん。あと1歩及ばなかった先輩の思いを受け取った松本は「練習メニューを一緒に考えてくれたり、一生懸命教えてくれたおかげ」と感謝した。

選手権道予選は過去10年で6度も4強に進出しながら全国への道は遠かった。11年ぶりの冬の大舞台。「目標は全国ベスト8。残り期間でできることをやりたい」と松本。昭和、平成から連綿と受け継がれた思いを背負って、令和初の選手権本大会のピッチに立つ。【西塚祐司】