【こちら日高支局です・古谷剛彦】ゴールドアリュールが変えたダート系種牡馬の潮流

スポーツ報知

 ダートG1が中央競馬で創設されたのは、97年フェブラリーSから。地方競馬との交流が本格的に行われるようになったのも同じ時期である。マイルやスプリントの分野もそうだったが、創成期は必ずしもレベルは高いとは言い切れず、タイトルを取って種牡馬入りしても、輸入種牡馬やサンデーサイレンス後継種牡馬たちを相手に、厳しい時代を送っていた。しかし、ゴールドアリュールが、ダート系種牡馬の流れを変えた。その産駒であるエスポワールシチー、スマートファルコン、コパノリッキー、ゴールドドリーム、エピカリス、サンライズノヴァ、クリソベリルなどが後継種牡馬となり、エスポワールシチーやゴールドドリーム、コパノリッキーは馬産地での人気は高い。

 チャンピオンズC(前身のJCダートを含む)の歴代優勝馬にはエスポワールシチー、ゴールドドリーム、クリソベリルとゴールドアリュール産駒が名を連ねる。その一方、ベルシャザールに始まり、ホッコータルマエ、チュウワウィザード、ジュンライトボルトとキングカメハメハ産駒が過去10年で4勝を挙げている。東京コース時代、キングマンボ直子のエルコンドルパサー産駒のアロンダイトとヴァーミリアンが優勝しており、舞台を問わず国内ダート最高峰のレースでキングマンボ系の底力を見せつけている。

 キングカメハメハ直子は4歳がラストクロップで、ビッグレースに登場する機会は減っている。しかし、今年もグロリアムンディの名がある。そして、キングカメハメハ系なら、ドゥラメンテ産駒のアイコンテーラーとドゥラエレーデが出走を予定している。さらに、母の父で言えば、コリアカップを圧勝したクラウンプライドが昨年2着の雪辱を狙っている。その父リーチザクラウンの父はスペシャルウィーク。牝馬ではブエナビスタを筆頭に活躍馬を輩出したが、後継種牡馬はリーチザクラウンのみ。その中から、貴重なダート界のトップホースが誕生した。

 ブルードメアサイアー争いは、1位キングカメハメハと2位ディープインパクトは、わずか約7000万円ほど。トップ2から、3位クロフネと4位マンハッタンカフェまでの差は約15億円、5位シンボリクリスエスまでは約18億円もの差があり、完全に2強の大勢だ。キングカメハメハとディープインパクトは、これからビッグレースが続くなかで、残る1か月は目まぐるしく変化するだろう。父系のみならず、母系に対する影響力でも、キングカメハメハとディープインパクトは国内の競馬シーンを大いに盛り上げている。(競馬ライター)

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