【番記者の視点・後編】クロアチア戦から続く“悪癖” それをどう克服していくか―

スポーツ報知
試合後、選手を集めてミーティングを行う森保一監督(手前)(カメラ・二川 雅年)

◆国際親善試合 日本2―0チュニジア(17日・ノエスタ)

 【代表担当・金川誉】(前編から続く)守田英正が引き合いに出したのが、あのクロアチア戦だ。2022年12月5日。カタールW杯・ラウンド16の記憶を呼び起こしてみる。日本はドイツ、スペインを破って1次リーグを突破し、ベスト8の壁に挑んだ。MFモドリッチら世界的なビッグネームを擁する相手に対し、前半43分にFW前田大然のゴールで先制。しかし後半はやや重心が下がって主導権を奪われると、後半10分にクロアチア代表MFペリシッチにゴールを許して同点に。1―1でPK戦にもつれ込むと、日本は初のベスト8を目前に惜しくも敗れた。

 偶然にもクロアチア戦と同じ前半43分に先制したチュニジア戦。守田は“悪癖”が顔を出す具体的な状況についても言及した。「1点取ってちょっと落ち着こう、となりがち。それまでしっかり(パスを引き出す)ポジションを取っていたのに、そのポジションを取りきらずに蹴ってセカンド(ボールを)取りに行こうと先にいっちゃう。ギリギリまで(味方に選択肢を)与えてあげられない感じです」

 リードを守る心理が働くと、相手のプレッシャーを受けやすい場所でパスを引き出すポジショニングが減る。するとセーフティーなプレーを誘発し、みすみす相手に主導権を渡す一因になる。もちろん、相手に流れが傾く時間帯はある。しかしそのきっかけを自分たちから与えているのであれば、改善の余地がある。受け手は常にパスを引き出すための最善のポジションを取り、その上で出し手が蹴るのか、つなぐのかを判断すべき、という考えのようだった。

 今の日本代表には、その判断ができる選手がそろっていると実感しているからこそ、“安全策”をよしとしないのだろう。快勝の中にも課題を見つめる守田に「これだけ勝ち続けると、自分たちは強いな、という感覚はありますか?」と聞いてみた。すると「強いなというより、自信はあります。これは負けていても自信を持ってやっているでしょうし。そういう選手達なんで。もちろん6連勝は気持ちいいですし、いい形で(11月の)2次予選に臨めるなと思いますけど、あまり結果でどうこうは、外野ほど思っていないです」と返ってきた。親善試合の結果に浮かれることはない。カタールでの敗北も糧にさらなる成長を求め、森保ジャパンは再びアジアへの戦いへと向かう。

サッカー

×