森保日本、高齢化DFラインの後継メンバーは…担当記者が提言

スポーツ報知
ダッシュで汗を流す久保建英(右)、室屋成(中)ら日本代表イレブン(カメラ・宮崎 亮太)

  日本代表は12日、W杯アジア2次予選のタジキスタン戦(15日・ドゥシャンベ)に備え、試合会場のセントラルスタジアムで当地入り後、初練習を行った。DF長友佑都(33)=ガラタサライ=、吉田麻也(31)=サウサンプトン=が別メニューで調整。試合への影響はない見込みだが、これを理由づけに森保ジャパンが直面するであろう課題の一つ、DFライン高齢化問題の解消へと舵(かじ)を切り、後継抜てきの一手を打つ策を、内田知宏記者が提言する。

 強い日差しを受け、選手たちは人工芝の感触を確かめながら汗を流した。DF植田は「サッカーなので」とピッチに違和感を覚えなかったというが、「疲労のある選手もいる。アジアの戦いはひとつも簡単なものはない。どう転ぶか分からない」と気を引き締めた。この日、DF長友と吉田が宿舎で調整のため、練習を欠席した。

 33歳の長友は、22年11月のカタールW杯を36歳、吉田は34歳で迎える。2人はザック、アギーレ、ハリル、西野、森保ジャパンと5人の監督から指名を受け、日本のゴールを守ってきた。どんな体勢からでもクロスを上げ、上下動の質を上げる長友。長谷部誠(35)=フランクフルト=が代表を引退した今、吉田はチームの精神的支柱として君臨している。

 プロ意識の高い2人だからこそ、トップを走ることができた。サッカーは年齢でやるものではない、ということも理解している。ただ、区切りをW杯としたとき「今」よりも「未来」が大事なタイミングがある。3年後に32歳になるDF酒井宏樹(29)=マルセイユ=はモンゴル戦で足首を痛め、大事には至っていないが、小さなけがが増えてきている。

 森保一監督(51)は「その時のベストはいろいろあります。(先発が)経験のある選手だけ。将来を見据えて若い選手だけ。その半分半分も考えられる。目の前の勝利と今後の発展のバランスを常に見ながらやらなければいけない」と明かす。偉大な選手を代えるには必ず理由がいる世界。アジア2次予選2連勝と順調なスタートを切り、血気盛んな後継候補がいる。今なら理由に困ることはない。

 ◆右SB29歳宏樹…室屋の推進力

 右サイドバックは15年以降、DF酒井が常にファーストチョイスだ。強じんなフィジカルを生かした堅い守備をベースに2列目を生かし、時には自らも攻撃参加する。攻守ともに質が高く、大舞台の経験も積んで安定感は抜群だ。昨季はマルセイユでファンの選ぶ年間MVPとなるなど、クラブでも充実期を迎えている。

 モンゴル戦ではサイドバックの控えは左右をこなせる安西だけだったが、冨安の負傷により室屋が追加招集。身長176センチの室屋は183センチの酒井にサイズで劣る分、守備面の不利は否めない。持ち味の縦への推進力と、攻守のハードワークを繰り返すことで“量的”に酒井を上回るプレーを見せられるかが鍵となる。

 ◆CB31歳麻也…植田伸びしろ

 吉田の持ち味は総合力になる。森保ジャパンで求められるキックの精度を両足で実行でき、高さもある。スピードも183センチの体格から見れば、決してない方ではない。そして、英プレミアリーグで8年目を迎える経験に裏打ちされた判断力においては、他がなかなか及ぶことができない領域に入っている。今代表でいえば、後釜候補は24歳の植田。スピードも高さも吉田を凌駕(りょうが)するが、キックの精度、判断力では大きく水をあけられている。ただ、大津高(熊本)時代に本格的にセンターバックを始めたばかりで、今後の伸びしろは十分。練習や経験などを通じて、後から手にできる不足分を補うことができれば、チャンスはある。

 ◆左SB33歳長友…安西経験積め

 DFラインの中でも最も壁が高く、力が求められるのは左サイドバックだろう。長友はストイックなトレーニングで弱点を克服してきただけに、1項目だけでも勝っている選手を見つけることさえ難しい。

 ただ安西がこの先、守備面と戦術眼を向上させられればチャンスは十分にある。運動量では引けを取らず、ゲームメイクに参加できるだけの技術、敵陣ゴール前の工夫においては分がある。今夏にポルトガル1部ポルティモネンセに移籍してからは1対1の守備が増え、守備を鍛えられる環境だ。あとは試合中の押し引きを肌にしみこませるために、高いレベルで実戦経験を数多く積みたい。

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