現役引退の小野伸二は気配り欠かさずピッチ外も広い視野…担当記者が「見た」

スポーツ報知
サポーターに笑顔で手を振る札幌・小野伸二

 サッカー元日本代表でJ1札幌のMF小野伸二が、44歳の誕生日を迎えた27日、今季限りでの現役引退を発表した。類いまれなるテクニックで「天才」と称され、1998年フランスW杯に日本史上最年少18歳272日で出場するなど3大会連続でW杯メンバー入り。一方で度重なるけがに苦しみ、今季はリーグ戦でベンチ入りも果たせていなかった。体力の限界を悟り、大好きなピッチを去ることを決断した。

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 屈託のない笑顔に、何度も救われた。伸二と初めて出会ったのは札幌に加入した14年6月。選手と記者だった関係性が少しずつ近づいたのは、伸二の人柄があったからこそだ。

 16年オフ、2人だけの会話から「残留決断」と報じた。しかし、クラブにはまだ正式に伝えていなかった。その後の酒席で「ショックだったなあ」と口にしながらも見せた伸二の笑顔で、胸のつかえが少し取れた。19年8月にJ2琉球に移籍後、翌年のキャンプで再会した。グラウンドに2人しか残っていない中、不慣れな記者の自撮り操作にも、笑みを浮かべて2ショット写真に応じてくれた。

 選手の誕生会などに参加すると、歌も抜群にうまく存在感が光るが、決して出しゃばらず、気配りは欠かさない。視野の広さは、ピッチ外も同じだった。今後の進路は明かしていないが、どの世界に進んでもうまくいくはず。魅力にあふれた伸二と接して来られたことが、担当記者として何より幸せだった。(前J1札幌担当・砂田 秀人)

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