現役引退の小野伸二、オランダ時代は好敵手のアヤックスサポーターも魅了した…通信員が「見た」

スポーツ報知
フェイエノールト時代の小野伸二

 サッカー元日本代表でJ1札幌のMF小野伸二が、44歳の誕生日を迎えた27日、今季限りでの現役引退を発表した。類いまれなるテクニックで「天才」と称され、1998年フランスW杯に日本史上最年少18歳272日で出場するなど3大会連続でW杯メンバー入り。一方で度重なるけがに苦しみ、今季はリーグ戦でベンチ入りも果たせていなかった。体力の限界を悟り、大好きなピッチを去ることを決断した。

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 まるで、ずっとチームにいる選手のようだった。小野はフェイエノールト加入1年目からすぐにチームになじみ、誰からも好かれた。持ち前の明るさに加え、その技術を誰もが認めた。よく練習取材にも足を運んだが、トップチームで小野以上にトラップが上手な選手はいなかった。どんなに難しいパスがきても、常に足元に吸いつくようにボールをピタッと止めた。小野とシーズン後半にユースから昇格したFWファンペルシーがいなければ2002年のUEFA杯(現欧州リーグ)制覇はなかったといえる。

 驚いたのはフェイエノールトだけではなく、相手チームのサポーターにも人気があったことだ。クラブ間の敵対心が強い欧州において、オランダ1部で最大のライバル、アヤックスのサポーターも小野のことを悪くは言わなかった。「彼のような選手はウチのチームに入るべきだった」「いい選手だ。フェイエノールトにはもったいない」と声をかけられたこともあった。オランダにおいて「ONO」は敵味方なく、すべての人を魅了する存在だった。(スポーツ報知オランダ通信員、ロビン・ストックス)

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