【番記者の視点】「勝つべくして勝った試合」息を吹き返した首位・神戸、キーワードは「距離感」にあった

スポーツ報知
C大阪に勝利し、ハイタッチを交わす神戸の選手たち(カメラ・馬場 秀則)

◆明治安田生命J1リーグ▽第28節 神戸 1―0 C大阪(23日・ノエビアスタジアム神戸)

 【神戸担当・種村 亮】首位の神戸はMF佐々木大樹の先制ゴールが決勝点となり、ホームでC大阪に1―0で勝利。関西ダービーをクリーンシート(無失点試合)で制し、勝ち点を55に伸ばした。

 「勝つべくして勝った試合をできたのは久々の感覚だった。何となく勝ったこともあったし、ラッキーで追いついたり勝ったりもしたけど、きょうは自分たちの狙いをやり通して勝てた」。試合後、取材エリアでの元日本代表DF酒井高徳の表情は充実感にあふれていた。今季ワーストの内容だった前節の広島戦(16日)から1週間。見違えるようなチームの戦いぶりに正直、驚かされた。

 どう立て直したのか。酒井は「1つだけ簡潔に、重要なことを言うと距離感はすごく大事にしていた」と明かした。「距離感というのは攻撃も守備もで、良い攻撃ができれば良い守備もできる。その全体の距離感が良くなかったせいで良い攻撃も良い守備もできていなかった。今週は、その距離感をどうやったら良くできるかをチームで話し合ってきた。それは前半戦からの自分たちのキーワードだった」

 前半戦の神戸は、敵陣でのハイプレスからボールを奪い、ショートカウンターを仕掛ける一連の流れは相手の脅威となっていた。それを可能にしていたのも酒井がキーワードに掲げた距離感を適切に取ることで「(前に)人数をかけているからセカンドボールも獲りに行けるし、近くに人がいるからすぐに前にも行ける。守備でも、そもそもの位置が高いから、そこ(自陣ゴール前)まで戻れなくてもシャットアウトできる。下がりすぎず、間延びしすぎず、コンパクトに保つ。それが広島戦から1番大きく変わったところ」と振り返った。

 異常な猛暑だった夏場はこれまでと同様に戦うことができず、消化不良の内容が続いた。自分たちの強みを試合のなかで再確認できたことは大きい。だからこそ酒井は「(前節からの改善は)簡単に『気持ち』とかで片付けられるかもしれないけど、僕としてはチームで修正できた勝利」と胸を張った。勝ち点1差で追う2位・横浜FM戦(29日・日産ス)を前にしての復調。秋の訪れとともに、神戸が息を吹き返した。

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