浪速のアザール!ハーツFW食野がらしさ全開の初ゴール。『違いを生んだ』と指揮官絶賛」

スポーツ報知
食野亮太郎

◇スコティッシュ・プレミアシップ第5節 ハーツ2―3マザーウェル(タインカッスル・スタジアム)

 【エディンバラ(英国)14日=森昌利】マンチェスターCから期限付きで加入しているハーツのFW食野(めしの)亮太郎(21)が、ホームで行われたマザーウェル戦で、初ゴールを含む2得を生み出す活躍を見せた。チームは2―3で敗れ、開幕から5戦勝ちなしとなったチームの中で、希望の星となっている。

 0―2で迎えた後半11分からトップ下で出場。すると、5分後にいきなりチャンスが巡ってきた。ペナルティーエリア(PA)内右でボールを受けると、深い切り返しで相手を1人かわし、左足シュート。GKにはじかれたが、こぼれ球を味方が押し込み、1点を返した。

 「味方がいいところにパスを出してくれた。切り返しにはついてこれないだろうとベンチで見ている時から分かっていた。自分のクオリティを生かせたかなと思います」

 再び2点のリードを許した後半41分には待望の瞬間が訪れる。PAのやや外でボールを受けると、ドリブルで1人をはがし、相手DF3人に囲まれながらも迷わず右足を振り抜いた。シュートはGKの横をすり抜け、ゴールへ吸い込まれた。

 「時間も時間で、場所も場所だったので、ここは行くしかないでしょという気持ちでボールを運んで、シュートまで持って行った。自分のことを分かってもらうために、ファーストゴールは必要だったし、早く決められたのはすごく良かったと思います」

 前節8月31日のハミルトン戦でデビューしたばかりだが、早くも2戦目で初ゴールをマーク。チームはまだ開幕5戦で勝利がなく、批判にさらされているが、食野の評価は急上昇している。クレイグ・レビン監督(54)は「リョウ(食野)が違いを生んだ。本当にいいゴールだった。あのゴールは私を勇気づけてくれた」と絶賛した。

 ピッチ内では順調だが、ピッチ外では苦労も多い。現地で髪の毛を切ったが「すごく失敗した」と苦笑するように、初の海外生活に慣れるにはまだまだ時間が必要。だが、それすらも人生経験として受け入れている。

 「例えば、WiーFiひとつ受け取るにも不在届があって郵便局に取りに行くとか、駐車場でどこに車止めていいか分からなかったり、頼んでいたものがちゃんと来ないとか、色々ストレスもありますけど、それも含めて楽しめている。この1か月誰にも助けを求められないんで、日本人誰も周りにいないし。辛いし苦しいけど、成長できるなと思って楽しんでやっています」

 あこがれの選手は、Rマドリードのベルギー代表MFエデン・アザール。体幹の強さを生かした重心の低いドリブルを目標にしている。この日の相手マザーウェルもフィジカルが強く、前線からのプレスも激しかった。スコットランドで成長できるという手応えを感じている。

 「それがこのリーグの特徴だと思っていたので、別に苦だとは思わなかった。自分がもっとボールを引き出して、ボールを失わなければ、もっとゴールも出るし、チャンスも増える。(マンチェスター)シティの強化部とも話しましたが、それが『違いを作る』ということだと思うので。自分の質を上げていきたい」

 東京五輪世代の21歳が、急成長を遂げようとしている。

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