今夏、ベルギーのシント=トロイデンからイタリア・セリエAのボローニャへと移籍を果たした冨安健洋。日本代表としても定着しつつある20歳のセンターバックは、25日にアウェーで行われるヴェローナ戦で新天地でのリーグ戦スタートを切る。さらなる飛躍のシーズンとすることを狙う冨安の可能性、そしてボローニャで求められている役割を関係者のコメントを基に展望する。
「彼はすごくいいDFだ。日本人としては例外的に大きいし、それでいて速いし、巧いし、頭もいい。常に冷静で状況判断も的確だし、後手に回ってもそれを取り戻せるスピードがある。右足も左足も使えて、プレッシャーがかかってもまったく動じずにボールを扱う。DFとしての個人技術、個人戦術という点ではまだ身に付いていない部分もあるが、それはまだまだ伸びしろが残っているということだ。まだそれほど注目されていないが、いま20歳前後のセンターバックの中では、世界でもトップ5に入るタレントだと思っている」
筆者が取材に訪れたボローニャで、たまたま立ち話をする機会を得たクラブ関係者が、こう言って冨安健洋を「激賞」したのは、今年3月のことだった。1月のアジアカップで日本代表の最終ラインを支え、一部では注目を浴び始めていたとはいえ、ヨーロッパではまだ、ベルギーの中小クラブでプレーする、いち無名選手に過ぎなかっただけに、この高評価には驚いた。冗談交じりで「ボローニャが獲るしかないですね」と言うと、帰ってきたのはこんな答えだった。
「そうなるといいね。彼のような選手がステップアップするなら、ドイツやイングランドではなく絶対にイタリアに来るべきだ。ここには他の国にはない『守備の文化』がある。選手として最も成長する20歳前後の時期にイタリアで守備の技術と戦術を身につければ、いままで日本人のDFが誰も到達しなかったレベルに成長することができると思う」
それから3ヶ月が過ぎ、2018-19シーズンが終わって移籍マーケットが始まった途端、ボローニャが冨安獲得に動き出したというニュースが流れた時には「来たか」と思ったものだ。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190825-00010017-goal-socc
「彼はすごくいいDFだ。日本人としては例外的に大きいし、それでいて速いし、巧いし、頭もいい。常に冷静で状況判断も的確だし、後手に回ってもそれを取り戻せるスピードがある。右足も左足も使えて、プレッシャーがかかってもまったく動じずにボールを扱う。DFとしての個人技術、個人戦術という点ではまだ身に付いていない部分もあるが、それはまだまだ伸びしろが残っているということだ。まだそれほど注目されていないが、いま20歳前後のセンターバックの中では、世界でもトップ5に入るタレントだと思っている」
筆者が取材に訪れたボローニャで、たまたま立ち話をする機会を得たクラブ関係者が、こう言って冨安健洋を「激賞」したのは、今年3月のことだった。1月のアジアカップで日本代表の最終ラインを支え、一部では注目を浴び始めていたとはいえ、ヨーロッパではまだ、ベルギーの中小クラブでプレーする、いち無名選手に過ぎなかっただけに、この高評価には驚いた。冗談交じりで「ボローニャが獲るしかないですね」と言うと、帰ってきたのはこんな答えだった。
「そうなるといいね。彼のような選手がステップアップするなら、ドイツやイングランドではなく絶対にイタリアに来るべきだ。ここには他の国にはない『守備の文化』がある。選手として最も成長する20歳前後の時期にイタリアで守備の技術と戦術を身につければ、いままで日本人のDFが誰も到達しなかったレベルに成長することができると思う」
それから3ヶ月が過ぎ、2018-19シーズンが終わって移籍マーケットが始まった途端、ボローニャが冨安獲得に動き出したというニュースが流れた時には「来たか」と思ったものだ。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190825-00010017-goal-socc
冨安のセリエA挑戦が始まる
欧州2年目のシーズンをセリエA・ボローニャの一員として迎えることになった冨安を待っていたのは、これまでに経験したことのない新しい役割だった。シニシャ・ミハイロヴィッチ監督とそのスタッフは、本来のポジションであるセンターバックではなく、4バックの一番右、いわゆる右サイドバックとして起用するという構想を持っていたのだ。ここで「いわゆる右サイドバック」という言い方をするのは、彼に求められている仕事が、ライン際を縦に上下動してビルドアップに絡み、敵陣深くに進出してクロスを折り返すという典型的なサイドバックのそれとは少なからず異なるものだからだ。
ボローニャは攻撃時と守備時で選手の配置が異なる、いわゆる可変システムを採用している。守備の局面では4-4-1-1または4-1-4-1で、いずれの場合も冨安は4バックの右端のポジションを取る。この点は通常のSBのタスクと変わらない。違うのは攻撃時の振舞いだ。ビルドアップ時の配置は3-2-4-1。ここで冨安は2人のCBと並んで3バックを形成、最終ラインでのパス回しとそこからのビルドアップに積極的に関与する。状況が許せば最終ラインを離れて中盤とほぼ同じ高さまで進出するが、その際にはライン際ではなく1列内側に入ったレーンにポジションを取って、ボールを奪われた後の被カウンターに備えることが求められている。これは、バイエルンとマンチェスター・シティでペップ・グアルディオラ監督が採用している「偽サイドバック」と同じメカニズムだ。
ボローニャの戦術コーチを務めるレナート・バルディは、この起用法についてこう説明してくれた。
「彼はDF陣の中で最もスピードがあり、しかも持久力でもトップクラス。体格も含めてフィジカル能力が傑出している。さらに左右両足のパスワーク、リスクを取って局面を前に進めるパスを出す度胸も持っている。このクオリティを我々のゲームモデルの中で最大限に引き出そうとするならば、単純にセンターバックとして起用するよりも、もっと別の起用法があるのではないかと私たちは考えた」
つまり、この「偽SB」は、冨安の持つ特徴に合わせていわば「オーダーメイド」されたポジションであり役割だということ。言い換えれば、ボローニャはそれだけ冨安を重要な戦力として計算し、大きな期待をかけているということである。
事実、ここまでのプレシーズンマッチ、そしてシーズン最初の公式戦となった先週末のコッパ・イタリア(ピサ戦)で、冨安は昨シーズンまでのレギュラーであるムバイエを差し置いて右SBでスタメン起用されてきた。前述のコーチは、冨安の学習意欲、学習能力も高く評価しており、今後毎日のトレーニング、そして試合を通して経験値を積み上げていけば、今シーズンのボローニャにとって重要な存在になるだけでなく、近い将来さらに高いレベルへとステップアップすることも十分可能、と語っている。その期待に応えられるかどうかは、もちろん本人次第。まずは目前に迫ったヴェローナとの開幕戦が楽しみである。
ボローニャは攻撃時と守備時で選手の配置が異なる、いわゆる可変システムを採用している。守備の局面では4-4-1-1または4-1-4-1で、いずれの場合も冨安は4バックの右端のポジションを取る。この点は通常のSBのタスクと変わらない。違うのは攻撃時の振舞いだ。ビルドアップ時の配置は3-2-4-1。ここで冨安は2人のCBと並んで3バックを形成、最終ラインでのパス回しとそこからのビルドアップに積極的に関与する。状況が許せば最終ラインを離れて中盤とほぼ同じ高さまで進出するが、その際にはライン際ではなく1列内側に入ったレーンにポジションを取って、ボールを奪われた後の被カウンターに備えることが求められている。これは、バイエルンとマンチェスター・シティでペップ・グアルディオラ監督が採用している「偽サイドバック」と同じメカニズムだ。
ボローニャの戦術コーチを務めるレナート・バルディは、この起用法についてこう説明してくれた。
「彼はDF陣の中で最もスピードがあり、しかも持久力でもトップクラス。体格も含めてフィジカル能力が傑出している。さらに左右両足のパスワーク、リスクを取って局面を前に進めるパスを出す度胸も持っている。このクオリティを我々のゲームモデルの中で最大限に引き出そうとするならば、単純にセンターバックとして起用するよりも、もっと別の起用法があるのではないかと私たちは考えた」
つまり、この「偽SB」は、冨安の持つ特徴に合わせていわば「オーダーメイド」されたポジションであり役割だということ。言い換えれば、ボローニャはそれだけ冨安を重要な戦力として計算し、大きな期待をかけているということである。
事実、ここまでのプレシーズンマッチ、そしてシーズン最初の公式戦となった先週末のコッパ・イタリア(ピサ戦)で、冨安は昨シーズンまでのレギュラーであるムバイエを差し置いて右SBでスタメン起用されてきた。前述のコーチは、冨安の学習意欲、学習能力も高く評価しており、今後毎日のトレーニング、そして試合を通して経験値を積み上げていけば、今シーズンのボローニャにとって重要な存在になるだけでなく、近い将来さらに高いレベルへとステップアップすることも十分可能、と語っている。その期待に応えられるかどうかは、もちろん本人次第。まずは目前に迫ったヴェローナとの開幕戦が楽しみである。
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— Bologna Fc 1909 (@BfcOfficialPage) August 24, 2019
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