「ウノゼロ」。サッカーで1-0勝利をイタリア語で「Uno a Zero」というらしい。「らしい」ということは、最近学んだ言葉だからだ。

名古屋グランパスはサンフレッチェ広島戦で今季5度目の「ウノゼロ」勝利を飾った。1-0でも10-0でも手にする勝ち点3は変わらない。守りで鍵をかけるを意味する「カテナチオ」が象徴するイタリアサッカーから生まれた言葉だけに、その価値を示しているのだろう。

川崎フロンターレは強い。その強い首位を追いかける1番手なのは揺るぎない。1-0で勝ちきるすべをチーム全体で身につけている。広島戦は前節の大分トリニータ戦から中2日だった。マッシモ・フィッカデンティ監督(53)は疲労を考慮して明確に戦術を描いた。「疲れが回復できない中、できるだけ早い時間に得点をして勝ちきる流れに持っていきたかった。最初からガンガンいくプラン。消耗した後でこれだけの試合をしてくれた選手は申し分ない」。

試合の流れはまさにプラン通りだった。前半22分にCKからDF丸山が先制ゴール。その1点を守りきる。後半は広島が試合を支配した。それも想定内か。指揮官は巧みに選手交代のカードを切って、ゴールを許さなかった。

名古屋はアビスパ福岡との開幕戦で後半37分にオウンゴールで失点して以降、無失点を継続。連続無失点を9試合に伸ばし、連続818分無失点は93年清水エスパルスの731分を塗り替える新記録となった。GKランゲラックは言った。「素晴らしい記録だと思う。私が感謝したいのは、チーム全員が守ってくれたということだ」。チームに戦い方が浸透している。今後の優勝戦線。「攻」の川崎Fと「守」の名古屋という色分けができそうだ。【実藤健一】