東京オリンピック(五輪)での金メダルを目標に掲げるサッカー女子日本代表「なでしこジャパン」は13日、千葉県内での合宿を打ち上げて、4月の活動を終えた。

約1年ぶりの国際親善試合で、FIFAランク10位のなでしこジャパンは、同47位のパラグアイ、59位のパナマに、7-0と快勝した。格下相手のマッチメークを疑問視する声もあったが、「ユーティリティー性の確認」という点では、意義のある活動となったともいえる。

東京五輪の登録メンバーは18人。ワールドカップ(W杯)の23人と比較すると、かなり少ない。金メダルまでの道のりを考えると、1次リーグから準決勝まで、中2日の5連戦を18人で勝ち抜かなければならない(準決勝から決勝までは中3日)。

このとき重要になってくるのが、選手個々のユーティリティー性だ。夏場の連戦では、コンディションを下げる選手や、ケガで離脱する選手が複数出てもおかしくない。同じポジションの選手が、2人同時にいなくなる可能性もある。そうなったとき、本職ではないポジションをこなせる選手の存在が、勝利のカギとなる。高倉監督も今回の活動前、「GK含めて全員が攻守にわたり力を求められる中、ポジションをつけなくてもいいと思っているくらい」と、その重要性を発信していた。

パラグアイ戦では、これまでボランチでの出場が多かったMF杉田妃和(24=INAC神戸)がサイドハーフで、反対にサイドハーフでの出場が多かったMF中島依美(30=INAC神戸)がボランチで出場した。

MF北村菜々美(21=日テレ)は、デビュー戦となったパラグアイ戦に右サイドハーフで先発し、3日後のパナマ戦には左サイドバックで先発した。

DF宝田沙織(21=スピリット)は、所属クラブで昨年FWから最終ラインに転向。19年の女子W杯フランス大会ではFW登録だったが、今回は2試合ともセンターバックで出場した。

合宿中には、左サイドバックのDF鮫島彩(33=大宮)がセンターバックでプレーしたこともあった。

格下相手にボールを握る展開が長かったことで、新しいポジションでいかに持ち味を発揮できるか、確認する時間は十分にあった。9日間の活動を終えた指揮官は「少しポジションをいじっている選手は、おおよそ満足のいくパフォーマンスをしてくれたと思っている」と、新たな役割に挑んだ選手へ及第点を与えた。

今回の合宿は、新たなポジションを試すことによる、メンバー選考の意味合いが大きかった。五輪メンバー発表までには、5月に合宿が、6月に国際親善試合2試合が予定されている。高倉監督は、24日に開幕するWEリーグのプレシーズンマッチに足を運び、選手個々の最新の情報を収集していくという。

「ここからは、いかにコンディションが上がってくるか、核があってどういう味付けをしていくか、に入っていく。調子が上がってくる選手が大事になる。そのあたりも組み込みながら、選んでいく作業になると思う」。金メダルに向けたなでしこジャパンのチーム作りは、最終段階に突入しつつある。