東京ヴェルディの前身・読売クラブ時代の1991年(平3)にブラジルから来日し、サッカークラブで用具を整えるプロの職業「ホペイロ」を日本に初めて持ち込んだ人物として知られる、ルイス・ベゼーハ・ダ・シルバさんが、肝臓がんのためサンパウロの病院で亡くなったことが13日、分かった。ヴェルディ川崎時代にベゼーハさんと親交があった、元サッカー日本代表FW武田修宏氏(53)が明らかにした。

ベゼーハさんは、読売クラブのペペ監督の誘いを受け、8カ月の短期契約を結んで来日。当時、スパイクの泥を落としたりユニホームを洗濯するなどして選手のプレー環境を整える、ホペイロという職業があること自体、日本では全く知られていなかった。

その中、ブラジルでプロ生活をスタートしたFWカズ(54、三浦知良、現横浜FC)が、ホペイロについてチーム内で説明し、理解を求めたという。その話はカズの著書「Dear KAZU」(文藝春秋社)に寄せた書簡の中で、ベゼーハさんがつづっている。ベゼーハさんは98年までヴェルディでホペイロを務めた後、01年には浦和レッズでホペイロを担当した。その後、ホペイロを引退し、ブラジルに帰国していた。

武田氏は、ベゼーハさんの弟子で日本人初のプロホペイロとなったJ2京都サンガの松浦紀典氏から電話で訃報を聞いたという。武田氏は日刊スポーツの取材に「ヴェルディの全盛期を陰で支えた、明るく、気さくで、真面目な良いヤツだった。用具係であるホペイロを、1つの職業として伝えてくれた、優しい人だった。ありがとうございました。ご冥福をお祈りします」と追悼のコメントを寄せた。