【阪神】データが示す矢野監督の早仕掛け 好調の陰に9回打ち切りルール下の積極采配

スポーツ報知
笑顔のハッピーハンズでナインを迎える矢野監督(中央)

 阪神が17年ぶりの敵地開幕3連勝を飾ったヤクルト3連戦を取材し、完全に野球が変わったと感じた。それは今季から時短目的で採用された「9回打ち切り、延長なし」ルールだ。

 延長10回までだった昨季とは、わずか1イニング、されど1イニングの差。阪神・矢野燿大監督(52)も「攻撃面では足を使うのも、逆に守りにいく、1点を防ぐという部分でも、より勝負にいく段階が早くなる」と話していた通り、采配面に変化が出ていた。

 昨年6月19日からの巨人との開幕3連戦(東京D)の出場メンバーを振り返ってみる。もちろん3連敗した1年前と単純比較はできないが、グラウンドに立った人数に違いが表れている。(円内数字は戦目)

【2020年の開幕3連戦】のべ45人

野手〈1〉10 〈2〉12 〈3〉12 計34

投手〈1〉 3 〈2〉 4 〈3〉 4 計11

【2021年の開幕3連戦】のべ56人

野手〈1〉13 〈2〉13 〈3〉16 計42

投手〈1〉 6 〈2〉 4 〈3〉 4 計14

 たった3試合を振り返っただけとはいえ、投手も野手も増加傾向にある。

 井上ヘッドコーチは「延長を考えなくていいとなれば、早めの仕掛けで。例えば5回を終わって延長を考えなくていいとなれば、6回から守備を固めたり、代走を出すケースもある」と説明する。

 阪神は昨季、85失策で3年連続リーグ最多失策となった。チームにとっては明白な課題。ただ今季はマルテ、サンズ、佐藤輝らの守備力には目をつむり、攻撃的なオーダーを組む。その後、惜しげもなく守備固めをつぎ込む。追いつかれたり、試合をひっくり返された際の打線の弱体化のリスクも9回打ち切りルールなら、最小限に抑えることができる。

 3試合を消化した時点で、フルイニング出場しているのは中堅の近本1人のみ。強力ブルペン陣もさることながら、内外野をこなす板山、陽川、熊谷がベンチに控えているのも強みだ。矢野監督は「全員で戦うのがうちの野球。総合力が上がってきた」と手応えを口にする。

 延長がないにも関わらず、12回制だった2019年からベンチ入りメンバーも25から26人に増えている。ようやく新外国人選手の来日ニュースも流れる中、コロナ特例を追い風にした球団がペナントの主役となりそうだ。

(プロ野球遊軍・表 洋介)

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