蛯名正義調教師 騎手引退式の謎「なぜウメノファイバー?」 

スポーツ報知
2月28日に行われた蛯名正義騎手の引退式

 先日、競馬好きの友人からメールが届いた。「なんでウメノファイバーなの?」。この質問のきっかけは、2月28日に中山競馬場で行われた蛯名正義元騎手の引退式。無観客開催だったこともあり、その様子はJRAの公式YouTubeチャンネルで生配信されたが、そこで「会心の勝利だったのは1999年オークスのウメノファイバー」という紹介VTRが流れたのだ。

 もちろんウメノファイバーも立派なG1馬ではあるが、「ジョッキー蛯名」の代名詞といえばエルコンドルパサー、アパパネ、マンハッタンカフェ、マツリダゴッホなどなど。ファンの記憶にも記録にも残るレースはたくさんある。言われてみれば確かに不思議なチョイスだったが、蛯名元騎手の回答はこうだ。

 「自分のなかで一番うまく乗れたなと思うレース。1番人気はトゥザヴィクトリーで、その後ドバイワールドCでも2着してG1も勝っている馬。もう1回やったらかなわなかったかもしれないけど、あのときはすべてがうまくいった。位置取りが少し前でも後ろでも負けていたと思う」

 1987年3月に騎手デビューし、引退した2021年3月までで騎乗した回数は2万1183回。途方もない数のレースを経験したなかで「一番うまく乗れた」と胸を張れるレースがオークスのウメノファイバーだったという。

 「あまり人気(7番人気)がなかったから思い切って乗れたというのもあるけど。あの騎乗ができていればダービーも勝てたかもしれないね」と笑って“オチ”をつけてくれたが、ダービー制覇の夢はまだつながっている。来年開業予定の蛯名正義調教師が、どんな馬をターフに送り出すのか、今から楽しみだ。(中央競馬担当・西山 智昭)

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