チーム愛、涙…巨人、DeNAで愛された「チャモさん」ホセ・ロペスが残したもの

スポーツ報知
ホセ・ロペス

 プロ野球の開幕が近づいてきた。華やかでいて、シビアでもある世界。それは外国人選手にとっても同じだろう。ここでぜひ触れておきたいのが、昨季までDeNAで活躍したホセ・ロペス内野手(37)のこと。間違いなく、熱いハートの持ち主だった。

 私が担当記者だった2015年に巨人から加入。「過去のことは振り返るものではない。僕は今、ベイスターズの一員なので」と最初の言葉が印象的だった。「優勝したいし、このチームならできると思う。ベイスターズでキャリアを終えたい」。愛称はスペイン語で「やんちゃ坊主」を意味する「チャモ」。決して「やんちゃ」ではなく、チーム愛にあふれていた。

 コロナ禍で自粛になるまで、沖縄・宜野湾キャンプの休日には「内野手会」を主催してきた。メジャーでも実績のある助っ人としては珍しい行動だが、本人にとっては普通のこと。「初めて日本でプレーしたジャイアンツで阿部(慎之助)さんを中心に、みんなが私のことを温かく迎えてくれた。勝つために、一つになることが大事だと学んだ」と当時の思いを忘れなかったからだろう。

 DeNA移籍2年目に一塁手部門でゴールデングラブを受賞すると、万永内野守備走塁コーチ(現DeNA2軍総合コーチ)と天野通訳に感謝を込めたプレゼント。「サポート、ありがとう…」とメッセージ入りの腕時計を贈った。昨年はキャンプ中に宮崎、大和とともに、ひとりの若者を呼び「しっかりとしたベテランがいる。分からないことや困ったことがあれば、何でも聞きなさい」と助言。力をもらったのは主将に就任したばかりだった佐野で、看板打者として立派に成長を遂げた。

 在籍6年間で158本塁打。肉離れや膝の故障に苦しんだここ数年は、亡き親友のためにも必死でプレーした。18年12月に母国・ベネズエラで交通事故死したエンゼルス(当時)のバルブエナとロッテやDeNAにも所属したカスティーヨ。翌19年から試合で着用するアンダーシャツの胸部分に2人の顔写真をプリントし、スパイクにも2つの背番号を刻んだ。昨年は目標だった日米通算2000安打、外国人では史上初となる日米両国で通算1000安打をクリア。試合後のセレモニーで流した涙には、たくさんの意味があったはずだ。

 幼少期はFWで、ブラジル代表のロナウドにあこがれたというサッカー少年。器用にリフティングする姿を見るのもまた、楽しかった。現在は米国で大切な家族と時間を過ごしているというが、まだ37歳。新たな歩みを、陰ながら応援したいと思う。

(記者コラム・長田 亨)

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