白鵬 異なる調整法で挑む勝負の春場所…世代交代を許すか、力を誇示するか

スポーツ報知
4場所ぶりに本場所に戻ってくる白鵬

 大相撲春場所は14日、東京・両国国技館で初日を迎える。注目力士の一人が、今場所休場となった鶴竜と共に、横綱審議委員会から「注意」を決議された第一人者の横綱・白鵬(宮城野)だ。場所前に新型コロナウイルスに感染して休場した初場所まで4場所連続休場。春場所は出場を断言したが、コロナ禍により、これまでとは違う調整法で場所を迎えることになった。「完全ではないですけど」と、不安も口にする最強横綱の底力が試される。

 白鵬の本場所から本場所までの通常パターンは、まずは1週間程度の場所後の休みで心身を回復させる。その後、大切にする四股、てっぽうなどの基礎運動を中心にじっくりと体を作る。ぶつかり稽古での胸出しや、立ち合いの確認など徐々に強度を上げながら、番付発表前後から所属する宮城野部屋での本格的な相撲の稽古に入る。そして、初日まで1週間前後から出稽古を開始。他の部屋の関取衆を相手に実戦感覚をつかみ、場所直前は基礎運動やトレーニングなどで締める。100%で場所には入らず、相撲を取りながら体の状態を上げて行く。

 ただ、コロナ禍ではいつものような調整とはいかなかった。出稽古は禁止で、他の部屋の力士と相撲を取れたのは、日本相撲協会が実施した2月中旬の合同稽古だけ。場所直前に様々タイプの力士と相撲を取って調整したい白鵬にとっては、勝手の違う調整法を強いられた。

 先場所優勝した大栄翔は本人の成長に加え、所属の追手風部屋に関取が5人おり、様々なタイプとじっくり稽古できたことも、賜杯を手にした要因のひとつとも言える。一方、白鵬の所属する宮城野部屋にも関取はいるが、175センチ、121キロの石浦、168センチ、98キロの炎鵬と小兵。大型で馬力ある力士との最終調整ができずに初日を迎える。

 ただ、場所直前の出稽古禁止の条件は各力士、同じだ。白鵬にとって救いは、昨年秋場所前と11月場所前は、古傷の右膝に大きな不安を抱えながらの調整だったが、その頃に比べて状態が良いこと。3月11日には36歳となり、初日は先場所優勝の小結・大栄翔戦。世代交代を許すのか。これまでの豊富な経験からくる調整力と相撲勘で力を誇示するのか。白鵬が勝負の春に挑む。

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