【楽天】田中将大 10年前の担当記者が「見た」…東北だからマー君は帰ってきた

スポーツ報知
11年4月、日本ハムの斎藤(右)と募金活動

 米大リーグ・ヤンキースから8年ぶりに復帰した楽天・田中将大投手(32)が10日、東日本大震災から10年の節目となる11日を前に、現在の胸中を語った。当時の楽天担当・橋本純己記者が「見た」で10年前を回想した。

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 忘れられない会話がある。楽天担当になってまだ数か月だった11年2月の春季キャンプ。「東北ってどう?」。マー君と同じ関西出身として、取材の合間に何げなく聞いた時だった。

 「地元の方も、みなさん優しくしてくれるし、すごくいい所ですよ」と答えた後、少し間が空いて「ただ、僕(が有名人)だから、よくしてくれるのか、正直分からないところもありますよね…」と、高校時代から注目され続ける田中だからこその苦悩をのぞかせた。

 大げさにするつもりはない。ただ、その時点で、マー君にとって東北はまだ、たまたまドラフトで入団した地、だったはずだ。楽天にとっても、当時から「神の子」として、もちろん知名度は全国区だったが、大エースの岩隈がまだ君臨していた。「田中のチーム」ではなかった。

 だが、その後の背番号18の軌跡はどうだ。11年19勝と奮闘し被災地に希望を。12年は10勝に終わったが、13年に伝説の24勝0敗で、イーグルスに、そして東北に初の日本一の栄冠をもたらした。これを天命と言わずして、何と言うのだろう。

 大震災後、田中に同じ質問をしたことはない。でも、答えなんか決まっている。東北だから、今年、マー君は帰ってきた。偶然じゃない。必然として。(11、12年、楽天担当・橋本 純己)

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