サッカーの日本フットボールリーグ(JFL)は、14日に2021年シーズンが幕を開ける。高知ユナイテッドSCは、14日にヴェルスパ大分とアウェーで対戦する。日刊スポーツではWEB連載として、仕事とサッカーを両立しながらJリーグ入りを目指す選手を紹介する。第2回はFW赤星魁麻(かいま、23)です。

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夢のJリーグへの道のりを、真っすぐに進む男がいる。高知の点取り屋FW赤星だ。昨季、チーム最多の6得点を挙げた。JFL得点ランク5位。午前中はサッカー、午後からは高知市内で護岸工事などを行う大型機械を手掛ける技研製作所に勤務しながら、Jリーグ入りを目指している。

「Jリーグでやりたい思いはあります。今は仕事をやりながらプレーしているので、サッカーだけで飯を食っていけるようになりたい」

日々、広大な会社敷地内の清掃作業などをこなす。ハシゴを立てかけビルの壁を洗浄し、社用車の洗車もする。夏は毎日のように芝刈りに奔走。芝に水をやり、肥料をまき、植えてある花にも目を配る。昨年8月の高知市内の最高気温は37・8度にもなった。夏場は2リットルの飲料水もすぐになくなる。屋外の仕事だけに、他のチームメートも驚きの日焼け具合だ。

「『お前だけ黒いやん』と本当に言われます。でも、嫌いじゃないですね。苦ではない。仕事するようになって、サッカーの道具をきれいにするようになった。そうすることで、パスやシュート、プレーの細部にこだわるようになった」

熊本出身。熊本工を卒業後は就職を希望していたがかなわず、江戸川大に進学。18年に主将として同部初の千葉県大学リーグ1部制覇を成し遂げた。卒業後もサッカーを続けようと思ったのもその頃だった。16年には熊本地震、20年には九州南部の豪雨が故郷を襲った。家族に被害はなかったが、熱い思いが込み上げた。

「親戚や友人に、少しでも活躍して、元気を与えたい。今年は優勝目指して、個人的には得点ランク1位になりたい」

目標はJ1でプレーすること。現状、チームはJリーグ百年構想クラブに認定されていないため、J昇格は最短でも2年後だ。まだ23歳。チャンスは無限大に広がっている。【南谷竜則】