今年のJ1清水エスパルスはひと味違う。今季はロティーナ新監督(63)を迎えただけでなく、11人の新戦力が加入。GK権田修一(32)を筆頭に、各ポジションへ実力者が加わり、層の厚みが増した。昨季はリーグ16位に沈んだだけに、低迷脱却へ本気度が伝わる積極補強を実現。新戦力と既存戦力の融合を図り、タイトル獲得を目指す。

鹿島対清水 後半、好セーブを見せる清水GK権田(2021年2月27日撮影)
鹿島対清水 後半、好セーブを見せる清水GK権田(2021年2月27日撮影)

当初の予想どおり、リーグ戦の先発メンバーの顔触れは、昨季と比べて大きく変化した。開幕戦の鹿島アントラーズ戦(3○1)では先発11人中7人、第2節のアビスパ福岡戦(2△2)では、同6人が新加入選手だった。開幕直前の取材で指揮官は「大きなけが人も出ずにシーズンを迎えられる。非常に満足している」。新型コロナウイルスの影響で来日できていないDFウィリアム・マテウス(30=ブラジル)など、数人の選手が実戦合流を果たせていないものの、厚くなった選手層をほぼフル活用できている点も心強い。

新体制発表会見で大熊清ゼネラルマネジャー(56)は「足りない部分を補強できた。新たな11人と、既存の選手とで良い化学反応を起こしてほしい」。その期待通り、昨季から在籍している選手たちも奮起している。鹿島戦でFW後藤優介(27)が決勝ゴール。福岡戦では昨季チーム最多10得点のFWカルリーニョス・ジュニオ(26)が先制点を決めた。

まだシーズンは始まったばかり。ロティーナ監督が「良い時も悪い時もあるのがサッカー」と話すように、逆境をはね返す力も今後は求められるだろう。それでも指揮官が「正しい道を歩んでいる」と話す、新生エスパルスへの期待は、さらに高まっている。【古地真隆】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

鹿島対清水 後半38分、ヘディングでゴールを決める清水FW後藤(2021年2月27日撮影)
鹿島対清水 後半38分、ヘディングでゴールを決める清水FW後藤(2021年2月27日撮影)