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「72人全員の気持ちみたいなものが…」韮崎はPK戦直前投入のGK小野が殊勲のシュートストップ!

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PK戦5人目、シュートを止めた韮崎高GK小野和真がガッツポーズ

[6.16 インターハイ山梨県予選決勝 韮崎高 0-0(PK5-4)日本航空高 中銀スタジアム]

「中学校の時からPK戦は負けたこと無いです」という交代出場のPKストッパーが、大仕事をしてのけた。0-0で突入した延長戦もスコアが動かないまま終盤へ。そして、終了間際に日本航空高はGKを高橋剣(3年)からGK橋本亮太(3年)へ、韮崎高も同じタイミングで好セーブを見せていたGK保坂拓哉(2年)をGK小野和真(2年)へスイッチする。

 ともに“PK戦要員”のGKを投入して勝負。保坂とがっちりと抱擁してピッチに入った小野は、「延長のハーフタイムにPKで交代するからって言ったら、『じゃあ、俺が全部無失点で行くからPKになったらオマエ頼む』と言われていた。保坂くんは交代するまで身体を張ってゴールを守ってくれていた」と振り返る。無失点でバトンを繋いでくれた保坂、また他の部員のためにゴールマウスに立った小野がPK戦で日本航空5人目のシュートをストップした。

 相手キッカーを威圧すると同時に、「強い気持ちで行かないと止められない」と自身を鼓舞するために大声。そして、右に跳んでシュートをストップすると、スタンドへ向かって何度も何度もガッツポーズしていた。そして、直後に左SB萩原大翔(2年)がゴールネットを揺らして勝利を決めると、スタンドへ全力でダッシュ。控え部員たちと喜びを爆発させていた。

「自分が止めてヒーローみたいになっているんですけれども、ここまで72人全員の気持ちみたいなものが見えて止めました。あの時はもう嬉しかったです。自分の役割をしっかりと果たせて、チームを勝たせられたので、それは嬉しかった」と小野。関東大会の水戸商高戦でも1本を止めて勝利に貢献しているPKストッパーが、再び1本を止めてチームに歓喜をもたらした。

 この日はヒーローとなったが、全国大会までまた、競争が始まる。小野は「全国大会に向けて、今はサブGKという立場なんですけれども、保坂くんとも、他のGKとも切磋琢磨して、チームの72人全員で一丸となって戦っていきたい」と意気込んだ。どんな状況で起用されてもピッチに立てば、チームのためにまたシュートをストップする。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

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