昨季14位のヴィッセル神戸が、同2位ガンバ大阪を倒す波乱の開幕勝利を飾った。主役は日本人エースのFW古橋亨梧(26)だった。後半34分、MF山口の約25メートルの縦パスに反応。華麗なループシュートで決勝点を奪った。

「(山口)蛍さんからいいパスが来て、入ってくれと願っていた」。右の2列目で先発し、後半途中でFWの位置へと変更。「1つ前のFWになって、ゴールに向かうプレーで相手に脅威を与えられたかな」。試合後は感極まり、ベンチで涙が止まらなくなった。

神戸は19年度に天皇杯優勝、昨季はACLこそ初出場で4強に進んだが、6連敗のままシーズンを閉幕。年をまたいでの7連敗は許されなかった。ヒーローは「開幕で僕のゴールで勝てたから、そういうこと(うれし涙)にしておいてください」と笑顔になった。

「古橋はスピードがあり(守備ラインの)背後への飛びだしで得点機会がある」と読み、FWに位置変更した三浦監督の采配も光った。右太ももを手術した主将MFイニエスタの復帰は4月以降になる。ブラジル人FWリンコンも入国制限で来日していない。ほぼ既存戦力ながら攻守にかみ合った神戸が、価値ある1勝をつかんだ。【横田和幸】